研究課題/領域番号 |
19K00618
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
金 善美 天理大学, 国際学部, 教授 (20411069)
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研究分担者 |
田窪 行則 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 所長 (10154957)
千田 俊太郎 京都大学, 文学研究科, 准教授 (90464213)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 終助詞 / 終結語尾 / 情報管理機能 / 韓国語 / 日本語 / 韓国全羅南道方言 / 自然発話 / 宮古語 |
研究実績の概要 |
研究代表者と研究分担者の計3人は本研究の2年度の2020年度に次のような研究活動を行った。2020年に起きた新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、感染症予防のため韓国全羅南道方言の現地調査を行うことができなかった。しかし2019年8月に韓国全羅南道務安郡で20代・50代の全羅南道方言話者を対象に収集した自然発話、2019年12月末に韓国全羅南道木浦で20代・50代・70代の全羅南道方言話者を対象に収集した自然発話の書き起こし作業と分析を行い、韓国全羅南道方言の終助詞の出現の様相について研究活動を行った。以下詳述する。 金善美は韓国語標準語・済州方言・全羅南道方言の終助詞と情報管理機能について学術誌に発表した。また関連研究として推量・意志を表す韓国語の-keyss-、-ul kes i-の出現様相について指示詞との関連の観点から執筆した論文が出版された。また「韓国語の単純存在表現と様態存在表現について」と題する招待講演を行った。田窪行則はExperimental Study of Inter-language and Inter-generational Intelligibility: Methodology and Case Studies of Ryukyuan Languagesと題する論文執筆、Questioning epistemic necessity in Korean and Japaneseと題する招待講演などの成果があった。千田俊太郎は「ドム語の「一」を表はす形式とその用法について-同一性、唯一性、非現實性、個々別々性、不定性、特定性-」、「書評論文: 金鍾徳著『韓国語を教えるための韓国語の発音システム』 (中村麻結訳) 東京: ひつじ書房2021」と題する論文執筆、「ドム語の單純存在表現と樣態存在表現」と題する招待講演などの成果があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年に起きた新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、新型コロナウイルス感染症予防のため韓国全羅南道方言の現地調査を行うことができなかったが、研究初年度の2019年に、研究2年度の2020年に行う予定であった言語データまで集めることができたため、おおむね順調に進展した。具体的には2019年8月に韓国全羅南道務安郡で20代・50代の全羅南道方言話者を対象に収集した自然発話、2019年12月末に韓国全羅南道木浦で20代・50代・70代の全羅南道方言話者を対象に収集した自然発話という言語データに対して、2020年度は書き起こし作業と分析を行い、韓国全羅南道方言の終助詞の出現の様相について研究活動を行うことができた。またその研究活動の成果を学術誌に論文の形で発表することができたので、現在までの進捗状況としてはおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
研究3年目の2021年度には新型コロナウイルス感染症が終息し次第、後続の現地調査を行い、韓国全羅南道方言を対象に壮年層と老年層の言語データを集める。ただし、2021年度も新型コロナウイルス感染症が終息しない場合は、研究1年目に集めた自然発話の言語データ、及び関連の以前の研究で蓄積した済州島方言の自然発話の言語データを利用し、韓国全羅南道方言と済州方言の終助詞の出現の様相について比較検討を行う。またその研究成果を韓国や日本の学会や研究会で発表するとともに、関連学術誌においても発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査のため使用する予定であった旅費が、新型コロナウイルス感染症予防のため使用できず、令和3年度に繰り越した。オンラインによる方言調査も難しく実現しなかったので謝金が発生せず、令和3年度に繰り越した。令和3年度の使用計画としては、韓国全羅南道方言と済州方言の自然発話集や関連研究書籍が新たに出版された場合は購入する。またオンラインによる方言調査を再度計画し、実現した場合は謝金を支払う。
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