キリシタン版『羅葡日辞書』は、主要原典であるラテン語辞書『カレピヌス』の版がほぼ特定され対照研究が行われるようになったが、その他の書との関係は不明の点が多かった。本研究により、天文に関する記述におけるイエズス会コレジオの教科書『講義要綱』との連続性、動物に関する記述における『羅葡日』『日葡辞書』それぞれの特色が明確になった。また『羅葡日』『日葡』を利用したマノエル・バレト『葡羅辞書』が、ポルトガルで編纂されたベント・ペレイラ『葡羅辞書』の典拠になったことから、日本イエズス会による辞書が、その後のポルトガル語辞書の情報源となったことをはじめて実証できた。
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