研究課題/領域番号 |
19K00632
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
坂本 清恵 日本女子大学, 文学部, 教授 (50169588)
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研究分担者 |
上野 和昭 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10168643)
佐藤 栄作 愛媛大学, 教育学部, 教授 (80211275)
鈴木 豊 文京学院大学, 外国語学部, 教授 (70216456)
加藤 大鶴 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (20318728)
山岡 華菜子 日本女子大学, 文学部, 研究員 (10803140)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アクセントの体系変化 / 『名語記』 / 長唄アクセント / 漢語アクセント / 平曲の助動詞のアクセント / 国学者の四声観 / 『朗詠要抄』博士譜 / 論議書の出合 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、文献によるアクセント体系変化後のアクセント研究の蓄積を行うことである。それぞれの研究対象とした資料別に整理して批判的に検討を行っているが、本年は、以下について研究を進めることができた。 近世期の文献の中でもアクセント史の資料としてその四声観が用いられることの多い契沖・釈文雄・本居宣長の記述については、これまでも山岡華菜子が中心で研究を行ってきた。今年度は、それらが後世どのように継承されたかについて、「近世国学者の記述にみる学問の継承 「四声観」を中心に」第386回日本近代語研究会(2021年度秋季発表大会)にて、近世後期の国学者である鶴峯戊申をはじめとして、とくに四声の記述に関してその一端を明らかにした。 近世期の具体的なアクセント注記に基づく考察としては、上野和昭による平曲譜本おける助動詞の接続についてと論議書における出合の状況が解明された。また、坂本清恵による長唄正本の研究から、長唄に関連した一節切の譜もアクセント資料としての活用の可能性があることが分かった。 アクセント体系変化前後の資料の扱いの難しさについて、佐藤栄作の『名語記』の声点研究から示されると同時に今後の展望も明らかになった。鈴木豊の清原宣賢自筆『日本書紀抄』における濁音表示では、平安時代から伝承された声点と京都アクセントの体系変化を反映する新しい声点やアクセントを表示しない濁点が混在していることが明らかにされた。 さらに、漢語アクセントの史的研究については、加藤大鶴が語類的な考察の可能性を探る研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた3つの目標について、それぞれ相応の成果を公表することができた。 1.近世期の四声観とアクセント表記方法との関係について考察を進め、近世期の国学者の四声観がいかに継承されていくのかを解明することができた。 2.体系変化後のアクセント資料である平曲譜本ついて、助動詞の接続によるアクセント反映が明らかになった。また、長唄をめぐる譜本類が近世期上方アクセントの資料となることが確認できた。 3.漢語アクセントの歴史的連続性についての研究を進めることができた。 ただし、コロナ禍による図書閲覧についての制限が課せられたことから、資料調査については実現することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年間延長したことにより、コロナ禍で行えなかった文献調査を実施するとともに、研究の集大成としての成果報告ができるよう、対面による研究会を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による図書閲覧についての制限が課せられたことから、資料調査については実現することができなかったことと、所属機関による出張制限がかかり、対面での文献確認や研究討論を行うことができなかったことにより、旅費を使用することができなかった。 また、大学への入稿制限などもあり、アルバイトを雇用することができない期間があり、人件費についても同様であった。 今年度は、アクセント体系変化後の文献資料の総まとめを行うべく、文献資料の複写を行い個々の文献資料の分析を行うとともに、対面による研究会を開催する予定である。
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