研究課題/領域番号 |
19K00634
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
久能 三枝子 (高田三枝子) 愛知学院大学, 文学部, 准教授 (90468398)
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研究分担者 |
邊 姫京 国際教養大学, 国際教養学部, 准教授 (90468124)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 既存資料の分析 / 樺太日本語方言 / 音声産出と知覚 |
研究実績の概要 |
2021年度に実施予定であった韓国および日本各地での調査は、行うことができなかった。すでに所有するデータの分析とその発表、また新たに他研究者と行った共同研究が当該年度の実績の中心である。 代表者(高田)は、本年度は他機関の研究者(松本和子(東京大学)、奥村晶子(東京大学大学院)、吉田さち(実践女子大学))との共同研究の形でロシアのサハリンに残存する日本語変種(「樺太日本語方言」と呼んだ)について分析し、学会にて2件の発表を行った。 1件目の発表は2021年10月24日に「第113回日本方言研究会」(東北大学(オンライン))において「見かけ上の時間を用いた樺太日本語方言の変異と変化」というタイトルで発表した。2件目の発表は2021年10月30日に「日本語学会2021年度秋季大会」(オンライン) において「樺太日本語方言の変容―朝鮮語・ロシア語との接触の視点から―」というタイトルで発表した。筆者は、この樺太日本語方言の有声破裂音のVOTを分析するとともに、他の変異も含め、言語外・言語内要因と各変異との関係について一般化線形混合モデルの当てはめによる検証を担当した。学会での発表内容は研究論文として学会誌等に投稿予定である(すでに一件は投稿した)。また、この共同研究は今後も継続する予定である。 分担者(邊)は日本語の破裂音の有声性に関するこれまでの研究結果を論文として発表し、また韓国語の破裂音の3系列(いわゆる濃音・平音・激音)の知覚に関する研究も論文として発表した。その結果で注目されるのは、いずれの言語においても産出で明瞭に見られるピッチの違いが、知覚においてはそれほど強い手掛かりとはされていないということである。これは今後の研究においても非常に重要な指摘であると考えられる。 上記の成果を今後の研究にも生かすこととする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、当初予定していた調査は不可能となった。分析は適宜進めたが、6月に代表者の妊娠が判明し、思うように研究が進まない時期があった。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は出産に伴いいったん研究を休止する。 復帰後は改めて調査の可能性を探るが、分担者との話し合いでは、おそらく韓国での調査は難しいと思われ、また日本国内もなかなか難しい状況であることが見込まれる。調査が不可能な場合は、手元の資料の分析を進める形で成果を発表していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの蔓延等により、昨年度および一昨年度、調査や出張が全く行われなくなったことが主な理由である。
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