個別の語の語史研究をおこない、それを総合することで意味変化の類型を考察し、語史研究の方法論の検討へと発展させることを構想した。 「遅々」は、近代以降にトシテ型の副詞用法を獲得するとともに、「遅々として進まない」という固定的な表現を形成したことを明らかにした。直近2年間の日本語学・日本語史、特に語彙の歴史的研究に関する研究状況の総括をおこなった。「国定修身教科書」を語彙史資料として検討し、問題となる事例を挙げて論じた。「賞罰」の語史的検討によって、「方丈記」の本文解釈を論じた。さらに、二字漢語のうち、二字が対になるもしくは反対の意味を表すくみあわせのものについて、意味変化の類型を考察した。
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