研究課題
基盤研究(C)
具体的な述語形式(推量や広義の希望をあらわす形式)の表わす意味の検討をとおして、述語形式が文の意味に対して、どのようなかかわりを持っているのかという問題について検討をおこなった。推量形式の検討からは、用法変化の要因が多様であることが、広義希望表現形式検討からはの結果として同様の意味をあらわす形式であっても、当該の意味をあらわす背景にある論理は多様であり得ることが、それぞれあきらかになった。形式と意味の関係が一枚岩でなく、多様であることを再確認した。
日本語学(文法史)
解釈(現代語への翻訳)方法は分かっているが、なぜそれがあらわされるのかわかっていない表現に対して、形式が意味を表現の理路や経緯を検討することによって、その背景を明らかにすることができた。形式と意味の関係を考えることは文法研究にとって(言語研究一般にとっても)重要な作業である。本研究は文次元の意味を考えることを通して、平板にとらえられがちが両者の関係の複雑さをあらためて確認したことになる。また、個々の形式に注目しながら、議論を進めることで、古代語の記述のさらなる精緻化にも貢献できたと考える。