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2022 年度 実施状況報告書

初期近代英語期のスピーチアクトのポライトネス的視点からの研究:モダリティを中心に

研究課題

研究課題/領域番号 19K00669
研究機関法政大学

研究代表者

椎名 美智  法政大学, 文学部, 教授 (20153405)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワードインポライトネス / 歴史語用論 / 代名詞 / モダリティ / コーパス調査
研究実績の概要

本研究の目的は、初期近代英語期の口語英語コーパスを歴史社会語用論の立場から、量的・質的に分析し、その特徴を調査することである。本研究課題の核心をなす学術的問いは以下の4つである。(1)初期近代英語期の口語テキストではどんなスピーチ・アクトがなされているのか? (2)観察された過去のスピーチ・アクトには、どのような言語的特徴があるのか? (3)スピーチ・アクトにおいて、モダリティ、呼びかけ 語、名詞句・動詞句はどのような語用論的機能を果たしているのか?(4)観察された過去のスピーチ・アクトは、(イン)ポライトネスの観点から は、どのような特徴があるのか?
今年度に注目したのは、初期近代英語期の裁判記録で、中でもチャールズI世の裁判記録の中のスピーチアクトの特徴を構文、代名詞、モダリティに注目して考察した。裁判の進行と同時に、構文、代名詞、モダリティの使用状況がどのように変化するのかを調査した。調査結果は英語論文で論じたが、被告人のチャールズI世と裁判長は、スピーチアクトのタイプには重なりがあるが、被告側の王はより多い種類のスピーチアクトを行っていることがわかった。構文的には王は1人称主語の能動態、裁判長は2人称主語の構文や受動態を多く使っていた。ポライトネスの観点から見ると、被告のチャールズI世が品行を重んじる発話をしているのに対し、裁判長は表敬を重んじる発話をしていることがわかった。この論文で上記の4つの問いに関する調査結果をまとめることができた。
(イン)ポライトネスについては、同コーパスのコメディテキスト内の呼びかけ語を調査した。ポライトな呼びかけ語「親愛語」とインポライトな「卑語」の共通点と相違点を比較することにより、ポライトな振る舞いには一定のルールや語彙があるが、インポライトな振る舞いにはそうしたルールや特定の語彙はなく、多様性の幅が広いことがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍のために、国内外の学会での発表が滞っていたが、2022年度にすでに発表できた論考もあるし、2023年度には海外の学会で発表できるレベルまで進めることができたので、概ね順調と言える。今後、これまでの研究を総括して、論文にまとめていければ、ほぼ計画通りに研究は進んでいくと考えられる。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策としては、研究成果の発表に重点を置く方向で進めていきたい。国内外の学会で発表し、フィードバックをもらいながら、総括的な論文を執筆して、これまでの研究を総合的にまとめていけばよいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

発表を予定していた国際学会が次年度に延期になったため、旅費の予算が使えなかったが、2023年度に開催されるので、そこで研究発表をする予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 「悪態をつくー初期近代英語期のコメディを分析するー」2023

    • 著者名/発表者名
      椎名美智
    • 雑誌名

      『イン/ポライトネスー絡まる善意と悪意ー』

      巻: 1 ページ: 197-230

  • [雑誌論文] Face and (im)politeness2022

    • 著者名/発表者名
      Shiina, Michi
    • 雑誌名

      East Asian Pragmatics

      巻: 1 ページ: -

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Strategies of Power and Distance in the Trial Record of King Charles I: Combinations of Personal Pronouns and Modality in Speech Acts2022

    • 著者名/発表者名
      Shiina,Michi and Minako Nakayasu
    • 雑誌名

      Variational studies on pronominal forms in the history of English,Studies in the History of the English Language 9

      巻: 1 ページ: 63-89

    • 国際共著
  • [学会発表] 「チャールズ一世の裁判記録における時空間体系」2022

    • 著者名/発表者名
      中安美奈子と椎名美智
    • 学会等名
      近代英語協会第39会大会
  • [学会発表] Where authority, speech acts and modality meet: A pragmatic analysisof the trail record of King Charles I.2022

    • 著者名/発表者名
      Nakayasu M, Shiina M
    • 学会等名
      The 9th Meeting of Linguistics Beyond and Within: International Linguistic Conference in Lublin
    • 国際学会
  • [図書] Variational Studies on Pronominal Forms in the History of English2022

    • 著者名/発表者名
      家入 葉子、矢冨 弘、David Selfe、Jeremy Smith
    • 総ページ数
      164
    • 出版者
      開拓社
    • ISBN
      978-4-7589-2383-5

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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