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2021 年度 実施状況報告書

英語の不定冠詞と関連構文の発達に関する実証的・理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K00673
研究機関関西学院大学

研究代表者

茨木 正志郎  関西学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (30647045)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード二重決定詞 / 後置属格 / 二重属格 / 冠詞 / 文法化
研究実績の概要

本研究の目的は、二重決定詞とよばれる構造(a(n) his friend)の消失と、後置属格あるいは二重属格とよばれる構造(a friend of mine)の出現・発達が関連していることを明らかにし、不定冠詞を含む限定システムの解明を試みることである。YCOE(古英語)、PPCME2(中英語)、PPCEME(初期近代英語)の史的コーパスを使ってこれらの構造の英語史における分布の変遷を調査し、調査結果より浮かび上がる事実に対して生成文法理論・文法化理論を用いて説明を試みることを目的としている。
これまでに二重決定詞と後置属格に関するコーパス調査は終えており、得られたデータに基づいて、これら2つの構造は同じ基底構造を持っていると仮定し、英語のDeterminer Systemの発達に伴い名詞前位で2つの決定詞が出現できなくなったために二重決定詞は消失したと主張した。また、昨年度は、定冠詞と不定冠詞の出現・発達についてコーパス調査を行い、冠詞の発達と英語のDeterminer Systemの発達との関係について分析を行った。具体的には、古英語の指示詞seと数詞anが冠詞としての文法的位置づけを中英語期に獲得することで、冠詞を中心として英語のDeterminer Systemが完成したことを指摘した。
今年度は、昨年度から引き続き不定冠詞の出現・発達に関するコーパス調査を行った。昨年度の調査より、古英語の数詞anから不定冠詞a(n)が出現し始めたのは13世紀ごろで15世紀の初めに不定冠詞としての発達が完了したと結論付け、不定冠詞の発達はHopper and Traugott (2003)での分化divergenceとよばれる文法化プロセスを経ていると主張した。さらに昨年度のデータを見直し、新たにOEDやMEDなどの辞書を使った調査を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナの影響により、当初予定していた出張を取りやめたため、進捗に遅れがでた。遠隔会議システムを利用するなどして、いくらか研究打ち合わせを行うこともができたが、それでも当初の予定通りに進めることができなかった。

今後の研究の推進方策

今後もコロナの状況によって出張や対面での打ち合わせが難しい状況が予想されるが、遠隔会議システムや電子メール等を利用して研究協力者と意見交換を行う。また、学会・研究会での発表を積極的に行い、これまで収集したデータを開示し、フロアとの意見交換を通じて本研究を進めていきたい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナの影響で研究を計画していた当初より予定していた国内外の出張を行うことができなかった。今年度も学会や研究会はほとんどオンライン開催のため出張する機会はかなり少なくなる予定なので、その分を図書や物品で使用するようにしたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 属格標識'sの発達と(脱)文法化2021

    • 著者名/発表者名
      茨木正志郎
    • 学会等名
      日本英文学会第93回大会
  • [図書] 言語の本質を共時的・通時的に探る2022

    • 著者名/発表者名
      田中 智之、茨木 正志郎、松元 洋介、杉浦 克哉、玉田 貴裕、近藤 亮一
    • 総ページ数
      448
    • 出版者
      開拓社
    • ISBN
      9784758923651

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公開日: 2022-12-28  

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