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2022 年度 実施状況報告書

英語の不定冠詞と関連構文の発達に関する実証的・理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K00673
研究機関関西学院大学

研究代表者

茨木 正志郎  関西学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (30647045)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード後置属格 / 指示詞 / 不定冠詞 / 二重決定詞
研究実績の概要

本年度は、指示詞タイプの後置属格の出現とそのメカニズムについて研究を行った。これまで不定冠詞タイプの後置属格のみを対象として研究を行ってきたが、指示詞タイプの後置属格についても調査・分析を行うことで、英語史における後置属格の出現と発達に関する全体像を明らかにすることを目的としている。
まず、Gaaf (1927)やAllen (2002)などの先行研究で提示されているデータ加えて、独自に行ったヘルシンキコーパスを用いた調査を行い、指示詞タイプの後置属格が初めて出現したのは1450年ごろで、一定数観察され十分に発達したと考えられるのは1650年ごろであることを明らかにした。複数の先行研究で指示詞タイプの後置属格の初出の事例は確認されていたが、十分に発達した時期を明らかにしたのは、管見の限り本研究が初めてである。
次に、後置属格は二重決定詞から発達したというHeltveit (1969)らの構造再編成の仮説に基づき、含む二重決定詞と後置属格には相関関係があるという仮説を立て、この仮説を支持するデータをコーパス調査より得た。具体的には、指示詞を含む二重決定詞の出現数が17世紀後半には3分の1程度まで減少し、同じ時期に指示詞タイプの後置属格の出現数がおよそ3倍になっていることを明らかにした。この事実は、後置属格が二重決定詞に取って変わったことを示唆していると考えられる。
最後に、後置属格について、生成文法の理論的枠組みの中で、その出現と発達に説明を与えた。具体的には、二重決定詞と後置属格は同じ基底構造を持つと仮定し、属格付与が内在格から構造格に変化したことに伴い、二重決定詞から後置属格が出現したと主張した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナの影響により、予定していた出張を取りやめたり学会・研究会に参加できなかったこともあって、進捗に遅れがでた。遠隔会議システムを利用するなどして、いくらか研究打ち合わせや学会に参加することもできたが、それでも当初の予定通りに進めることができなかった。

今後の研究の推進方策

来年度より、ほとんどの学会・研究会が対面で開催されるようになってきており、学会参加や研究打ち合わせを以前よりスムーズに行えるようになったので、積極的に活動をしていきたい。また、遠隔会議システムや電子メール等を利用して研究協力者と意見交換も行っていく。また、これまでの研究成果を学会や研究会で発表し、フロアとの意見交換を通じて本研究を進めていきたい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナの影響で、学会や研究会がオンラインで行われたため、当初予定していたよりも出張が少なくなってしまった。しかし、来年度よりほとんどの学会が対面で開催されるようになり、また、対面での研究打ち合わもしやすい状況になったので、今後は予定通り予算を使用するようにしたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 指示詞を伴う後置属格の発表について2023

    • 著者名/発表者名
      茨木正志郎
    • 雑誌名

      言語と文化

      巻: 26 ページ: 17-28

  • [学会発表] 指示詞を伴う後置属格構造の発達について2022

    • 著者名/発表者名
      茨木正志郎
    • 学会等名
      日本英文学会中部支部第74回大会

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公開日: 2023-12-25  

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