研究課題/領域番号 |
19K00675
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
山田 英二 福岡大学, 人文学部, 教授 (20166698)
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研究分担者 |
廣川 佐千男 東京都立産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 研究員 (40126785)
曽 超 福岡工業大学短期大学部, 情報メディア学科, 教授 (50270088)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 英語 / 強勢 / コンピュータ / プログラム / 位置関数理論 / データベース / CELEX2 / 第2強勢 |
研究実績の概要 |
本研究は、英語の語強勢配置を説明する語強勢理論(Yamada 2010)をプログラムとしてコンピュータに実装し、実際に起動させることにより、理論の検証を行うとともに、必要に応じて理論に修正を施し、その完成を目指すものである。Yamada(2010)によって提案された英語の副次強勢配置理論(位置関数理論)は、当初からコンピュータプログラムとしてプログラム化することを考えて構築されていた。本研究では、プログラムの専門家である数学者・情報理論研究者の協力を得て、理論を実際のプログラムとしてコンピュータに実装し、その検証を行った。その結果、Yamada(2010)による英語の副次強勢配置理論による副次強勢規則は適切なプログラムとして起動し、良好な成果を得ることができた。つまり、言語理論としての適格性を示すことができたといえる。 本年度は、昨年度の研究に加えて、副次強勢規則のプログラム化をより精緻なものとすることに努めた。その結果、昨年度の結果を含め以下のことが明らかとなり、次年度の研究へ繋げることができるようになった。即ち、(a)英語語彙の副次強勢関連出力(副次強勢の非発生を正しく予測することを含む)については、全体の正解率が89.77%となった。(b)2~6音節の単語ごとに正解率を見てみると、音節数が増えるに従って100%から47%に下がったが、これは音節数に基づく「確率」という観点からは妥当な結果であり、6音節語においても、47%という正解率は本プログラムが成功していることの査証といえる。(c)各音節の正解予測率と(ランダム)チャンスレベルを比較すると、3~7音節のすべてにおいて正解予測率がチャンスレベルを超えていた。また、(d)強勢規則の検証のために実験で用いる位置関数の数を1つから5つまで変化させると、正解率は23.33%から63.60%まで段階的に増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実績の概要に記したように、本研究による(a)英語語彙の第2強勢勢関連出力(副次強勢の非発生を正しく予測することを含む)の正解率は89.77%である。(b)2~6音節の単語ごとの正解率においては、音節数に応じて100%から47%へと推移している。(c)各音節の正解予測率と(ランダム)チャンスレベルを比較すると、3~7音節のすべてで正解予測率がチャンスレベルを超えている。(d)強勢規則の検証のために実験で用いる位置関数の数を1つから5つまで変化させると、正解率は23.33%から63.60%まで段階的に増加した。 これらの成果を音韻論・音声学関連の国際会議「PAC 2021(2021年9月1日から3日にフランスで開催の予定であったが、本年度はコロナ禍のためオンライン開催となった)」で発表した。また、その成果を英語論文として英語関係の専門誌に投稿する準備を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本プログラムに含まれる位置関数の数をYamada(2010)が想定する上限である16個まで増やし、第2強勢の配置予測を検証する予定である。次に、本研究に基づき、より高度な第3強勢付与システムを評価するコンピュータプログラムを構築する予定である。さらに、主強勢位置の算出についても、山田(2010, 2013)の枠組みで同様の研究を行う。最終的には、主強勢付与、第2強勢付与、第3強勢付与、無強勢付与のすべてのメカニズムを同時的かつ統一的に予測できるプログラムを備えた明晰な強勢理論を完成させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会への出張に関して、出席を予定していた学会が今年もコロナ禍のため、オンラインでの開催となり、現地への出張を取りやめた。 次年度は、本年度に音韻論・音声学の国際会議「PAC 2021(2021年9月にフランスで開催(オンライン開催))」で発表した内容を英語論文としてまとめ、フランスの出版社から出版する予定である。さらに、この分野の専門研究者を集めて、イギリスの出版社から英語の語強勢に関する専門書籍を出版する予定で準備を進めている。現在、その完成原稿を添えた出版提案書をすでに出版社に提出していて、査読結果待ちの状態である。また、その出版費用として、次年度使用が生じた経費(研究代表者分)を活用する予定である。
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