研究課題/領域番号 |
19K00678
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
神谷 昌明 豊田工業高等専門学校, 一般学科, 教授 (40194980)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 句動詞 / フランス語源動詞 / 前置詞 / 1音節動詞 |
研究実績の概要 |
(1)フランス語源動詞244語の借入関係を表の中に明示した.さらに「フランス語源1音節動詞+前置詞」から成る句動詞(88語)の初出例をthe Oxford English Dictionary 2nd edition (以下OED)から抽出し,「フランス語源動詞+前置詞」から成る句動詞研究の基礎資料を作成した. (2)フランス語法からのなぞり(calque)を2例抽出した.[1]gain in フランス語 gagner enからのなぞり [2]gain on フランス語 gagner surからのなぞり (3)formalになる句動詞 句動詞は一般的に口語的表現になるが,フランス語源1音節動詞88語の内以下の6語がformalで使用されていることが分かった.割合は全体の7%である.[1]chance on/upon sb/sth [2]join with sb [3]pass into sth [4]sue for sth [5]vie with sb/sth, vie for sth [6]rail against/at sb/sth (4)「動詞+前置詞」からなる句動詞は,「動詞+副詞」から成る句動詞に比べて, 半イディオム構文を構成する例は極めて少ないと言える.理由は,前置詞は動詞ではなく前置詞の後に来る(前置詞の)目的語に連動し,「点,起点,到達点,運動の向き」等を示し,「強意・完了」,「継続」等の比喩的意味への拡張が制限されるからである.一方,副詞辞は本来,動詞を修飾するものであり,動作動詞(dynamic verb)の動作を強調するようになり,副詞辞は語義的意味から「強意・完了」,「継続」のような比喩的意味に拡張する.半イディオム構文は「動詞+副詞辞」からなる句動詞の典型的な例であることが今回の調査研究でも明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「フランス語源1音節動詞+前置詞」から成る句動詞(88語)の初出例をthe Oxford English Dictionary 2nd edition (以下OED)から抽出し,「フランス語源1音節動詞+前置詞」から成る句動詞の特徴を見つけ出すことができた.さらに句動詞研究の基礎資料を作成することができた.しかしながら,ロンドン大学(UCL)への出張ができず,各用例の照合作業などができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
KAMIYA and NAKAGAWA (2021)では「フランス語源1音節動詞+前置詞」から成る句動詞の初出例を提示した.今後の課題として「フランス語源多音節動詞+前置詞」から成る句動詞の初出例をthe Oxford English Dictionary 2nd edition(以下OED)から抽出する.そしてKAMIYA(2020),KAMIYA and NAKAGAWA (2021)の分析結果も踏まえ「フランス語源動詞+前置詞」から成る句動詞の特徴を探る.
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張がコロナ禍により中止になったため.(ロンドン大学UCL Main Libraryで文献調査・照合作業をする予定であった).次年度に持ち越し、可能であればロンドン大学へ出張し研究結果の照合作業等を行う.
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