直接引用複合語は、引用部が表す説明的内容を抽象化して上位概念を表す名詞句を用いて、ある意味客観的に表現する代わりに、その抽象化の手間を省いて、発話をそのまま引用することで事態を見たまま、感じたままに表出できる形式である。それは同時に、聞き手に抽象化された名詞句であれば可能であった様々な読み込みの余地を狭める表現であるともいえる。この点から、SNSでの文字情報のみのコミュニケーションにおける誤解や憶測を互いに避けるために適した表現形式であるともいえ、現象の記述や機能的分析のみではとどまらず、例えば、社会学的観点などからの分析をも可能にする研究であるといえる。
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