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2021 年度 実施状況報告書

言語変化と複雑適応体系ー英語の多義語の発達を史的データと脳の機能から探る

研究課題

研究課題/領域番号 19K00694
研究機関鶴見大学

研究代表者

小倉 美恵子  鶴見大学, 名誉教授, 名誉教授 (60074291)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード言語変化 / 言語進化 / 複雑適応体系 / 多義語 / 史的データ / 脳の機能
研究実績の概要

これまで語彙拡散による英語史上の音韻、形態、統語、意味、語彙変化の研究を、複雑適応体系に内在する基本原理(淘汰、自己組織化、相転移、曖昧性と頑強性、ネットワーク)の観点から統合した。本研究では英語の多義語の歴史的発達を、Historical Thesaurus of Oxford English Dictionary, Early English Books Online, WordNetからの膨大なデータと、光トポグラフィーを用いた脳の機能実験に基づき明らかにする。
これまで動詞および名詞につき、意味数がもっとも多い上位5語を選び、それぞれの多義語が起こる例文を、Early English Books Online (EEBO) からランダムに500文抽出した。次に多義語動詞については名詞、多義語名詞については動詞について、それぞれ500文における前後5語の中での共起を調査してデータ化した。
今年度は意味数が最も多い5動詞それぞれについてEEBOからランダムに抽出した500文の中で動詞と共起する名詞について、Historical Thesaurus of Oxford English Dictionary に基づき歴史的な発達を調べデータ化した。多義語動詞の意味のあるものは、共起する名詞が同一意味範疇内に起こり歴史的にも同じように発達しており、動詞の意味は階層関係をなす縦の変化をしたことを示し、他方別の意味は共起する名詞が異なった意味範疇のものか、同一範疇であっても意味が多岐に渡っており、動詞の意味変化は横、つまり水平方向に起こったことを明らかにした。この横方向の変化が多義語を構成する意味の距離を短くし、small-world networkを構築することを実証した。
次年度にはこれら縦の変化と横の変化は脳の中での意味概念の活性化の仕方が異なることを実証する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

当初、本年度は英語の多義語動詞と共起する名詞、及び多義語名詞と共起する動詞の歴史的発達について、Historical Thesaurus of Oxford English Dictionaryからの膨大なデータ収集と調査を行う予定であった。多義語動詞については終わったが、予想以上に時間がかかる大変な作業で、多義語名詞についてはデータ収集の最中である。
また光トポグラフィーを用いた脳の機能実験を行う計画であったが、コロナ禍にあり、3密を避けた環境下での実験は難しい状況にあった。

今後の研究の推進方策

多義語の歴史的発達を脳の機能から探るため、英米人と日本人による光トポグラフィーを用いた実験を行う。日本語の語順は基本的にはSOV語順であるが自由度がかなり高く、この点で日本語も古英語も談話構造と密接に結びついた統語構造が用いられていたと考えられる。中英語以降はSVO語順の緊密な統語構造に変化した。
本研究では、多義語の意味の中で階層的な縦の関係を示しているものは、中英語以降の緊密な統語関係と関連し、意味は前頭葉、側頭葉に概念的局所化が認められる。他方多義語の意味変化で水平な関係を示すものは、日本語、古英語の談話構造と関連し、前頭葉、側頭葉全体に渡って活性化が起こっていることを実証する。

次年度使用額が生じた理由

当初、本年度に光トポグラフィーを用いた脳の機能実験を予定したが、実験は次年度に行うこととしたため残金が生じた。機器のレンタルとそれに伴う諸経費は次年度の実験費用として用いる。

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公開日: 2022-12-28  

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