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2020 年度 実施状況報告書

属性叙述のthere/have交替に関する記述的・理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K00697
研究機関神戸女子大学

研究代表者

南 佑亮  神戸女子大学, 文学部, 准教授 (40552211)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードthere構文 / have構文 / 属性叙述 / 主観的判断 / 不定代名詞 / 形容詞
研究実績の概要

今年度は、昨年度まで続けていたthere/have交替現象を起こす属性名詞のデータベース作成と並行して、there構文の方でbe動詞後続の名詞句が[不定代名詞something+形容詞]となる構文現象(There is something special about her.)についてCorpuse of Contemporary American Englishを用いた予備的なデータ調査と、母語話者への簡易な聞き取り調査を実施した。その結果、目下のところ次の3点の性質が判明している。(i)somethingの後のスロットに出現する形容詞のタイプが、話者の主観的な判断を表すもの(different, special, strange, familiar, odd, weird, fishy, funny, magical, comfortingなど)に集中し、客観的・物理的属性を表すものは使用されない。(ii) about句の補部が個体指示に限定されず、行為・状態を表す場合が多い、(iii) about句の指示対象に関する属性に対する話者の判断を表すが、「なぜそうなのかはよくわからない」という含みがある。以上の点に、叙述類型論と認知的構文文法理論の観点からの考察を加えた論考を単著の和文論文(『タバード』36号掲載)としてまとめた。
また、there構文のbe動詞後続名詞句の意味タイプという観点からデータ収集している過程で、当研究プロジェクトが想定していたものとは少し異なるものの、英語のthere構文の研究では扱われることのなかった一連の現象が明らかになり、その記述的な一般化に着手した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

とりわけ年度の前半はコロナ禍による遠隔授業への対応にかなりの時間と労力を費やしたこともあり、当初予定していたような研究活動は十分に実施できなかった。その一方で、immediacy, pattern, rhythmなど、当該の交替現象に生起するあらたな名詞のデータ収集は進んでいる。また、「研究実績の概要」欄にも述べたとおり、研究計画当初は想定していなかった関連現象についても新たな事実が判明しつつあり、3年目の研究活動への布石は十分に整っているといえる。

今後の研究の推進方策

初年度の終わりに目標の1つとしていた「特定の属性名詞のthere構文とhave構文への分布は談話的要因・概念的要因のどちらに動機づけられているのか」という問題については引き続き検証と分析を進め、その成果を8月に参加する国際構文文法学会で発表し、国外の研究社からのフィードバックを得ることで進展を図る。
データ収集と整理に関しては、2020年度はコロナ禍により実現が困難であった大学院生のアルバイトの協力を得て進めていく。加えて、母語話者への聞き取り調査についてはZoom等も駆使して継続的に実施していく。
there構文に関する新たな現象に関しては、成果をまとめて英語関連の学術雑誌に投稿するという形で成果を公開する計画である。

次年度使用額が生じた理由

支出が大幅に少なくなった最大の原因は、参加予定であった8月の国際学会(開催地:ベルギー)が延期され、参加するための渡航費・宿泊費の支出がなかったことである。額は大きくないが、コロナ禍により国内学会もオンライン開催になり、旅費が不要となったこともある。
次年度は、海外渡航費は引き続き不要である可能性が高いが、国内学会は対面開催に戻る可能性もあるため、そちらの出費は見込まれる。加えて、洋書を中心とした関連書籍の購入、電子ジャーナルの契約、データ調査のための謝金、英文論文投稿の際の校閲の謝金、等で前半の2年よりもかなり多めの支出を見込んでいる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 属性叙述のためのthere構文に関する構文理論的考察2021

    • 著者名/発表者名
      南 佑亮
    • 雑誌名

      タバード

      巻: 36 ページ: 15-31

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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