研究課題/領域番号 |
19K00697
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
南 佑亮 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (40552211)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | there構文 / have構文 / 属性叙述 / paradigmatic relations / 構文文法 |
研究実績の概要 |
今年度の主な研究実績は、前年度に発見した感情・心理経験を表すthere構文の2つの類型のうち、ある種の心理名詞(comfort, consolationなど)に特化したタイプのthere構文(例:There was comfort in that thought.)に固有の特徴に着目し、構文文法の観点からその記述・分析を提示したことである。この構文は心理名詞が表す心理状態の経験者(experiencer)をfor前置詞句で明示する場合があり、かつその経験者を主語とする他動詞構文(例:I took comfort in that thought.)とパラダイム関係にあるという特殊な性質がある。ここに構文と語彙(名詞)のミスマッチが起こっていると想定すると、この特殊性はthere構文としての非典型性の現れであることが予測できる。この予測を確かめるため、他動詞文とこの種のthere構文の分布をCorpus of Contemporary American Englishを用いて主な名詞ごとに調査したところ、there構文の事例数が常に他動詞文の三分の一以下にとどまっていることが判明した。この成果は日本英語学会第40回大会で発表し、同大会のプロシーディングス論文集(JELS 40)に英文論文として掲載されている。 一方、この発表時点(11月)では現象の記述が中心であり、理論的考察と説明が手薄であった。そこで、その点を補うことを目的とし、問題の構文現象の分析が、異なる形式を持つ構文間の関係(パラダイム的関係)の重要性を示す優れたケーススタディとなっている点を明確にした論考をまとめ、The 12th International Conference on Construction Grammar (ICCG12)での研究発表に応募し、内定を得ている(2023年5月に発表予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究機関が新しくなったために研究環境の整備に時間は要したが、研究に注力する時間は十分に確保できたため、コロナ禍で生じた研究進捗の遅れは解消しつつあると言える。前年度の報告にも記載したように、計画当初には想定していなかった現象の発見をしてからはそちらの分析の方にシフトしているが、これはむしろ当初から着目していた現象をより正確に分析するために有用な変更であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
・理論的な考察にも重点を置き、本研究で対象とする言語事実を説明できる見込みのある理論的仮説を詳細に検討し、投稿論文に反映させる。 ・2023年度は最終年度となる見通しであるため、研究成果を論文化し、学術誌に投稿することを中心に進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年から引き続きコロナ禍の影響により国内外の各種学会・研究会のほとんどがオンライン開催が中心であったため、当初計上していた旅費がほとんど発生していなかったが、次年度は少なくとも一度は国際学会での研究発表があり、国内学会も対面開催のものがほとんどになるため、それらのための渡航費・滞在費・旅費で40~50%を使用する見込みである。残りの予算については、洋書を中心とした最新の研究書の購入、英文校閲料、および古くなった設備機器(プリンター、スキャナー等)の刷新に使用する見込みである。
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