研究実績の概要 |
本研究は、日本国内の日本語学校における多読実施状況調査を糸口として多読に関心を持つ日本語教員にインタビューを実施しようと計画したが、新型コロナウイルス感染拡大により、インタビュー調査を実施することができなかった。 多読実施状況調査は書面で実施できるため、2019年度・2021年度・2023年度と3回行った。このうち、2021年度の調査結果を、2022年度日本語教育学会秋季大会で発表した。インタビュー調査の代替として、初めて教室内多読を取り入れた教員の協力を得て、多読実践の振り返りを書き記したデータを収集することができた。これによって、13回の授業記録のデータを収集することができた。13回の授業のうち、1回目の授業の振り返りの記録をSCAT(Steps for Coding and Theorization)を用いて質的に分析した。分析の結果は、第32回小出記念日本語教育学会年次大会で発表した。 上記の他、言語文化教育研究学会第7回研究集会(2019年12月,ハノイ)においてパネルセッション「日本語教師の省察を促す3つの試み」を、韓国日語教育学会2023年度第43回国際学術大会で「多読授業のダイアリーを読んだ2人の日本語教師の対話―経験の触発に着目した分析―」を発表した。 これまで、多読の実践における教員の役割は、多読の環境を整えたり学習者の様子を観察し助言を与えたりすることが主な役割だと考えられていたが、それだけではなく、教員としての立ち振る舞いについて、教室内多読の事前・事中・事後に考えていることがわかった。
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