研究課題/領域番号 |
19K00707
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
許 明子 名古屋大学, 国際機構, 教授 (10322611)
|
研究分担者 |
永井 絢子 国際大学, 言語教育研究センター, 講師(移行) (00808751)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 話し手の視点 / 当事者立場 / 現場立脚型 / 「てくる」 / 「ている」 / 臨場感の表現 |
研究実績の概要 |
対面による接触場面の会話調査は実施できず、Zoomを用いたオンラインによる調査を実施しデータの整理を行った。まず日本語母語話者が話し手自身の立場を示すときの表現形式の選択について3つの場面を設定した4コマ漫画によるストーリーテーリングの手法を用いた調査を行った。日本語母語話者26名を対象に調査を行い、文字起こしによるテキストデータの作成、4コマごとの表現形式や視点の固定について分析を行った。国立国語研究所のI-JASのストーリーテーリング調査には日本語母語話者、韓国人日本語学習者、中国人日本語学習者のデータが公開されており、それらのデータと比較を行うことによって日本語母語話者が話し手を主人公としてとらえた際の視点表現、対人関係の捉え方、言語表現形式の選択について特徴を明らかにした。 木村秀樹による研究結果によると、中国人母語話者は傍観者俯瞰型の視点を捉える傾向があるということから日本語母語話者とは異なる視点を捉え、言語形式の選択も異なると考えられる。今回の日本語母語話者のストーリーテーリングの調査結果によって、日本語母語話者が話し手自身に視点を捉えてストーリーを組み立てる際には1コマ目に話し手が当事者の立場を明確に表す傾向があり、その際に状態の継続性を表す「~ている」や、話し手に視点があることを表す「~てくる」を多用していることが明らかいになった。話し手の視点や立場を明確にとらえることによって、対人関係を構築する際の言語形式の選択にも影響が及ぼしていることが考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日韓中の接触場面における対人関係の構築に関するプロセスについて会話調査を行う予定であるが、COVID-19の影響によって対面による会話調査の実施が困難である。対面による調査は実施せず、オンラインによる調査、ストーリーテーリングの手法を取り入れた調査を実施し、日本語母語話者の特徴を明らかにしている。
|
今後の研究の推進方策 |
中国人日本語学習者、韓国人日本語学習者を対象にオンラインによる調査を実施する予定である。日本語母語話者、韓国人・中国人日本語学習者のデータを収集し、比較しながら基礎データの整理を行う。 対面で調査が実施できるようになったらプロジェクトを継続してく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により海外で開催されている国際学会の研究大会に参加できず、旅費の支出が返照しているため
|