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2019 年度 実施状況報告書

高度外国人材に求められるビジネス日本語フレームワークの確立 ―尺度化と妥当性検証

研究課題

研究課題/領域番号 19K00712
研究機関琉球大学

研究代表者

葦原 恭子  琉球大学, グローバル教育支援機構, 教授 (30566534)

研究分担者 島田 めぐみ  日本大学, 大学院総合社会情報研究科, 教授 (50302906)
野口 裕之  名古屋大学, 教育発達科学研究科, 名誉教授 (60114815)
塩谷 由美子  東京富士大学, 経営学部, 教授 (60744315)
奥山 貴之  沖縄国際大学, 総合文化学部, 講師 (00745490)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードビジネス日本語フレームワーク / 異文化コミュニケーション能力 / mediation(仲介) / Can-do statements / CEFR
研究実績の概要

本研究チームはビジネス日本語教育および高度外国人材の育成・評価に資するビジネス日本語フレームワーク(以下、BJFWとする)構築を目指している。本研究で国内外で活躍している高度外国人材にインタビュー調査を実施した結果,言語能力や異文化コミュニケーション能力を活かし,日本企業と取引先の仲介役となって活躍していることが明らかとなった。折しも本研究が先行研究として参照しているCEFRの補遺版が発表され,「mediation(仲介)」スキルについて新たな定義とCan-do(仲介活動・仲介ストラテジー)が加えられた。これによりグローバルなビジネス場面での「仲介」の重要性が示されたため,高度外国人材に求められる「仲介」スキルを明らかにし,ビジネス日本語フレームワークに追加する必要があると判断した。2019年度には次のことを実施した。1)CEFRの補遺版のmediationに関する記述を抜粋・翻訳した(全21頁), 2)仲介の例示的記述文(Cando記述)を抽出し・翻訳した,3)内容を精査し,ビジネス日本語フレームワークの記述文として書き換えた,4)能力記述文バンクに登録した。CEFR 2018から抽出した仲介のCan-doは279項目であった。BJFWに追加するために再構築を試みたところ,次のようなプロセスが発生した。1)翻訳したCan-do記述をビジネス場面に置き換える。2)ビジネス場面に置き換えないものはリストから除外する。3)二言語間で行われる仲介は,起点言語が日本語で目標言語が日本語以外の言語の場合,およびその逆の場合の2パターンのCan-doを作成する.4)A1~C2等の尺度のレベル差をつけるために用いられるマイナス条件については削除し,タスクの難易度によってレベル差をつける。その結果、BJFWの能力記述文項目バンクに登録されたCan-do案の候補は326項目であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CEFR2001が刊行されて以来,欧州評議会に寄せられた多くの要望に応えるべく,CEFR2018補遺版(以下,CEFR2018とする)が刊行された。CEFR2018では,CEFR2001が取り上げていなかったCan-doを拡充し,A1レベルの精緻化、プレA1の設定、Cレベルに関するCan-doリスト,ネット上のインタラクション,仲介能力や複言語・複文化能力,文学作品などの評価を伝えるCan-doを収録している。先行研究では、仲介に関するCan-do作成は補遺版における重要な新機軸であると指摘されている。以上のような背景からもグローバルなビジネス場面での仲介の重要性が明らかとなったため,BJFWに集約すべく仲介スキルを能力記述文バンクに登録することとした。2019年度はCEFR2018の仲介に関する記述をすべて翻訳し、仲介Can-doもすべて翻訳し精査し、BJFWのcan-do候補として書き換えることができた。

今後の研究の推進方策

今後は,仲介Can-doを含むBJFWの項目の必要度を測るため,既に日本国内で就職している高度外国人材と企業担当者にインタビュー調査とアンケート調査を実施し,さらに海外で働く高度外国人材と企業担当者にも調査を実施する。この調査では,主に高度外国人材にとって必要な項目とそうでない項目を判別することを目的とする。調査結果を分析し,BJFWの項目を整理し,確定する。その後,国内および海外で活躍する高度外国人材に対し,各項目についてどの程度できるかを尋ねるCan-do自己評価調査を実施し,項目の難易度を推定するためにラッシュモデルによる分析を行う。その結果に基づき,Can-do項目を精査する。さらに,Can-do項目を難易度順に並べ,レベル設定(A1~C2)を行い,尺度化し,BJFWを完成する。

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルスによる新型肺炎蔓延により、計画していた研究打ち合わせのための出張や調査のための出張がキャンセルとなり、余剰金が生じた。2020年度以降、状況が改善し次第、中断している打ち合わせおよび調査を実施する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 高度外国人材に求められる「仲介」スキルとはーCEFR2018補遺版におけるmediationの分析を通してー2020

    • 著者名/発表者名
      葦原恭子,塩谷由美子,島田めぐみ
    • 雑誌名

      琉球大学国際教育センター紀要(琉球大学留学生センター紀要通算17号)

      巻: 4 ページ: 11-35

  • [学会発表] 高度外国人材に求められる「仲介」スキルとはーCEFR2018補遺版におけるmediationの分析を通してー2020

    • 著者名/発表者名
      葦原恭子,塩谷由美子,島田めぐみ,奥山貴之,野口裕之
    • 学会等名
      沖縄県日本語教育研究会 第17回大会
  • [学会発表] 高度外国人材に求められるビジネス日本語能力の評価ービジネス日本語Can-do statementsからビジネス日本語フレームワーク構築へ2019

    • 著者名/発表者名
      葦原恭子
    • 学会等名
      日本テスト学会 第17回大会
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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