研究課題/領域番号 |
19K00712
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
葦原 恭子 琉球大学, グローバル教育支援機構, 教授 (30566534)
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研究分担者 |
島田 めぐみ 日本大学, 大学院総合社会情報研究科, 教授 (50302906)
野口 裕之 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 名誉教授 (60114815)
塩谷 由美子 東京富士大学, 経営学部, 教授 (60744315)
奥山 貴之 沖縄国際大学, 総合文化学部, 准教授 (00745490)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高度外国人材 / CEFR-CV / ビジネス日本語 / フレームワーク / Can-do statements / 直観的手法 / 質的調査 / 量的調査 |
研究実績の概要 |
本研究は高度外国人材の育成・教育・評価に資する枠組みとなる汎用的基準としての「ビジネス日本語フレームワーク(BJFW)」の構築を目的としている。BJFW構築にあたり,直観的手法を用い,既存の尺度であるCEFR 2018補遺版等からCan-do項目を抽出し,ビジネスタスクとして書き換えた。次いで,質的調査法として高度外国人材の就職支援等に携わる日本人専門家3名・高度外国人材2名を対象にアンケートを実施し,各項目の必要度・難易度を確認し,Can-do項目の表現について改善点等の助言を得た。調査結果をCan-do項目に反映し,各項目の精査・修正をし,Can-doを完成し,全項目数は,170項目(聞く11・読む13・書く18・話す17・やりとり20・会議/商談16・仲介活動49・仲介ストラテジー11・オンライン業務15)である。「聞く・読む・書く・話す」の59項目について日本国内外で勤務する高度外国人材237名を対象にCan-do項目の経験の有無と自己評価に関する量的調査を実施した。1)「聞く・読む・書く・話す」活動に関するCan-doを用い,高度外国人材を対象に各項目の経験の有無および自己評価に関するアンケート調査を実施した。2)結果を統計処理し,業務に関する経験の有無が自己評価に与える影響を明らかにした。次のことが明らかとなった。1)経験「あり」と回答した者の割合は,受容「聞く(79.3-96.2%)・読む(73.8-95.4%)」の方が産出「書く(43.9-92.0%)・話す(44.3-79.7%)」よりも比較的高かった。2)全項目について,経験ありと回答した者は,経験なしと回答した者よりも自己評価が高かった。3)比較的平均値が高い項目(M 4.0以上)は,一般的な業務に関するタスクであった。4)比較的平均値が低い項目(M 3.5以下)は,専門的な業務に関するタスクであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究チームは,東京および沖縄在住であり,コロナ禍以前は東京・沖縄間をメンバーがお互いに行き来し,毎月のように頻繁に研究打ち合わせを実施していた。しかし,コロナ禍以後は,出張が規制され,対面での研究打ち合わせが不可能となったことから,オンラインで月に2回,各2時間(全20回)の研究打ち合わせを重ねたが,対面による集中的な討論の時間が持てなかった。さらに,高度外国人材および日本人専門家に対面でインタビューできなかったことが原因となり,2022年度の当初の計画であった,300名以上の高度外国人材に対する量的調査および統計処理の時間を捻出することが不可能となった。オンラインでもより多くの調査協力者を募るため,2022年度にはCan-do項目を日本語版から英語版・簡体字版・繁体字版・韓国語版に翻訳し,調査を継続したが,調査は完了できなかったため、研究期間延長を申請し,2023年度にも引き続き,量的調査を実施し,統計処理を行い,Can-doを尺度化する計画である。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を2023年度末まで延長したため,2022年度から引き続き,BJFW構築のためのCan-do170項目の量的調査を実施する。Can-doは「聞く・読む・書く・話す」「やりとり・会議/商談」「仲介活動」「仲介ストラテジー・オンライン業務」の4フォームがある。理想的にはそれぞれ300名の回答数が必要であるが,2023年現在,各フォームの回答者数が異なっている。そこで,2023年度には30名の高度外国人材に4フォーム全てに回答を依頼し,Can-do項目の尺度化のためのアンカー項目とする。アンカー項目を活用し,項目の難易度を推定するためにIRTモデルによる分析を行う。結果に基づきCan-do項目を難易度順に並べ,レベル設定を行い,尺度化し,育成・教育・評価に資するBJFWを完成し,公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度はコロナ禍であったため,当初計画していた対面による研究打ち合わせ,国内学会での口頭発表,国際大会での口頭発表が全てキャンセルとなった。研究打ち合わせはオンラインで月2回行ったが,研究代表者が東京出張できたのは年に2回のみであった。参加を予定していた国際大会はキャンセルとなり,国内の学会等での口頭発表は2回行ったが,いずれもオンラインで実施された。当初の計画では2022年度が研究の最終年度であったが,2023年度まで延長し,2022年度に完了できなかった量的調査を継続して実施し,東京および沖縄において対面の研究打ち合わせを実施する。国内の学会における口頭発表にも参加し,研究成果を公表する予定である。
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