研究実績の概要 |
本研究は, ビジネス日本語教育および高度外国人材の育成・評価に資するビジネス日本語フレームワーク(以下,BJFWとする)を構築している。インタビュー調査の結果,高度外国人材は言語能力や異文化間コミュニケーション能力を活かし,仲介活動をしていることが明らかとなった。また,CEFR補遺版が発表され「仲介」活動について新たな定義と例示的能力記述文(以下,Can-doとする)が加えられ,複言語・複文化社会における「仲介」の重要性が明らかとなった。そこでCEFR補遺版の仲介Can-do 240項目を翻訳・精査・分析し, BJFWの「仲介活動」Can-doを構築した。「日本語・日本語以外の言語間の口頭による仲介」22項目,「日本語・日本語以外の言語間の書くことによる仲介」12項目,「会議における日本語・日本語以外の言語間の仲介」6項目,「日本語のみによる仲介」9項目の全49項目である。次いで,高度外国人材 218名を対象に量的調査を実施した。Can-do 項目の経験の有無と自己評価(問題なくできる=5,ほとんどできない=1)の結果は次の通りである。1)経験ありと回答した者の割合の平均は「日本語・日本語以外の言語間の口頭による仲介」(M 68.1%)が最も高く,「会議における日本語・日本語以外の言語間の仲介」(M 57.7%)が最も低かった。2)自己評価の平均は「日本語・日本語以外の言語間の口頭による仲介」(M 3.86)が最も高く,「日本語のみによる仲介」(M 3.62)が最も低かった。3)「日本語・日本語以外の言語間の仲介」の自己評価の平均は口頭での仲介(日本語→日本語以外 M 3.93, 日本語以外→日本語 M 3.80)も,書くことによる仲介(日本語→日本語以外 M 3.77, 日本語以外→日本語 M 3.67)も日本語→日本語以外の言語の仲介の自己評価が高かった。
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