研究課題/領域番号 |
19K00714
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
品川 なぎさ 国際医療福祉大学, 総合教育センター, 講師 (30445142)
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研究分担者 |
稲田 朋晃 国際医療福祉大学, 医学部, 講師 (20799233)
石川 和信 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (80222959) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 専門日本語 / 医学部留学生 / 医学用語 / コミュニケーション / 医学日本語教育 |
研究実績の概要 |
2019年度は、前年度に試行・開発した医学日本語授業を改善して実施し、その実施期間中に科目ごとに語彙試験を行い、学期ごとに留学生へのアンケート・インタビュー調査を行った。 前年度の1年間の授業実践および留学生へのアンケート・インタビュー調査を通じて、医学日本語の5つの能力(語彙、文法、読解、聴解、コミュニケーション)のうち、語彙とコミュニケーションに習得の難しさを感じているようすが観察された。文法、読解、聴解は膨大な医学用語の下支えのうえに成り立つものであることからも、当初の予定を変更し、本研究では優先すべき能力として5つの能力のうち語彙とコミュニケーションの2つの能力に絞って評価方法を開発、能力特性を明らかにすることにした。 語彙については、語彙試験を試行した。2年生までに学修する科目は、循環器、呼吸器、消化器、腎泌尿器、内分泌代謝系、婦人科系(産科・婦人科)、運動器(整形外科・皮膚科・膠原病)、脳神経系(脳神経内科・脳外科・精神科)、胎児・小児、感覚器(眼科・耳鼻科)、血液、腫瘍と臨床、感染症の全13科目である。別途開発中の医学用語リストから各科目の語彙を抽出し、医師のアドバイスを受け学生の履修進度に合わせた語彙選択を行い、語彙試験を開発・実施した。 コミュニケーションについては、まずはどこにどのような問題があるのかを探索するため、授業内のプレゼンテーションおよび医学授業で実施された医療面接の録画映像を観察し、問題点の抽出・分類を行った。さらに、日本人学生との比較検証のための医療面接を別途実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は授業実践を通じての探索的研究であることから、対象となる留学生や医師の協力をスムーズに得ることができたためである。 また、並行して行われている医学用語リストの開発が予定より順調であり、本研究の語彙試験の試行を実施することができたためである。
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今後の研究の推進方策 |
語彙については、2019年度に実施した語彙試験の試行版を元に、試験の再開発を行う。語彙試験の語彙の抽出元となった医学用語リストは語彙が形態素解析により短単位で抽出されていたため、短単位では試験に採用できず医師の語彙整形が必要であった。科目によって整形された語彙の難易度にばらつきがあったこと、医学用語リストが2019年度には長単位で抽出する試みが行われたことなどから、語彙試験の再開発を行うことにした。 語彙試験は医学日本語授業実践において授業内で科目ごとに実施する計画であったが、オンライン授業への移行に伴い科目ごとの試験実施が困難となったため、総合的な医学語彙試験として医学日本語授業を履修した3学年を対象に横断的に実施して語彙習得状況を分析する。 コミュニケーションについては、2019年度に実施した医療面接のデータ分析を行う。日本人学生と留学生のコミュニケーション・スタイルの違い、留学生の医療コミュニケーションにみられる日本語の問題点について質的・量的両観点から分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
医療面接の規模を縮小したためである。年度末に計画していた医療面接が、コロナウイルス感染拡大の影響を受け、規模を縮小して実施せざるをえなかったためである。
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