研究課題/領域番号 |
19K00714
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
品川 なぎさ 国際医療福祉大学, 総合教育センター, 講師 (30445142)
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研究分担者 |
稲田 朋晃 十文字学園女子大学, 留学生別科, 講師 (20799233)
石川 和信 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (80222959) [辞退]
吉田 素文 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (00291518)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 専門日本語 / 医学部留学生 / 医学用語 / 医療コミュニケーション / 医療面接 |
研究実績の概要 |
2020年度は、語彙試験の再開発と、医療コミュニケーションのデータ分析を行った。 語彙試験については、前年度に作成した試験の語彙を見直し、試験の再開発を行った。語彙の抽出元となる医学用語リストが修正され、短単位から長単位の語彙の抽出が可能となったためである。医学用語リストの修正により、複合名詞の語彙を試験に採用することが可能となった。リストから診療科ごとに特徴度の高い語彙を抽出し、診療科ごとに試験を開発した。当初の計画では医学日本語授業実践に沿って診療科ごとに試験を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け医学部の時間割が大幅に変更になった。診療科ごとの定期的な試験実施が難しくなったため、診療科ごとではなく総合的な語彙試験に作り替えた。総合試験は年3回実施予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け対面での試験実施が不可能となったため、2020年度の試験実施は断念した。 医療コミュニケーションについては、医療面接を実施しデータ分析を行った。1年生から3年生までの留学生と同学年の日本人学生の医療面接を実施した。分析にはRIAS(Roter Method of Interaction Analysis System)を用い、コミュニケーションの特徴を定量的に分析した。留学生と日本人学生の医療面接を比較することで、①留学生にのみ見られるコミュニケーションの特徴はあるか、②あるとすればどのような特徴か、この2点を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大により対面での語彙試験が実施できなかったためである。語彙試験は医学日本語実践において授業内で科目ごとに実施する計画であったが、オンライン授業への移行に伴い、科目ごとの試験実施が困難となった。そこで、総合的な医学語彙試験として縦断的に年3回の試験を実施すべく計画を変更し試験を再作成した。しかしながら第1回目の試験において対面での試験が実施不可とされ、2020年度の試験実施を断念するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、語彙試験の実施と医療コミュニケーションの質的分析を行う。 まず、語彙試験については、新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し対面試験が不可能な場合にも試験が実施できるよう、オンライン語彙試験の開発を行う。2年次留学生に対して経時的に語彙試験を実施する。試験結果と、各学生の医学知識、一般日本語能力、社会文化的属性などとの相関を分析し、それらのデータをもとに試験の妥当性と信頼性を検討する。 医療コミュニケーションについては、留学生の発話を言語の観点から質的に分析する。また、模擬患者へのインタビューを実施し患者視点の分析を行う。前年度の分析から明らかになった留学生の医療コミュニケーションの特徴について、それらが模擬患者にどのような影響を与えているのかについて明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用額が生じた理由は、新型コロナウイルス感染拡大による下記2点のためである。1)模擬患者への謝礼が不要になったためである。医療面接を実施した2020年3月にはすでに新型コロナウイルス感染の影響が出始めていた。感染拡大防止のため学外者の校内立ち入りが禁止となり、市内の模擬患者会に模擬患者の依頼ができなくなった。学内関係者に模擬患者を依頼することとなったため、謝礼の支払いが不要となった。2)学会、研究会が中止またはオンラインとなり、旅費、交通費が不要となったためである。
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