本研究は、外国人労働者について言語保障という観点から現状の問題と課題を明らかにし、包括的・継続的学習支援の枠組みを検討することを目的としている。外国人労働者のなかでも技能実習生に焦点を当て、彼らの日本語運用に対する職場の日本人の意識が学習機会の保障にどのように影響しているのかを探るものである。そのために、4つの研究課題 (1) 実習生の日本語学習の実態はどのようなもの、(2) 実習生は職場の日本人とのコミュニケーションで何に困難を感じているか、(3) 日本人は実習生の日本語運用をどのように評価しているか、(4) 日本人は実習生とのコミュニケーションで何に困難を感じているか、を設定し調査を行った。 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で研究計画の見直しが必要となったが、2019年度および2022年度に実施した調査で得られたデータをもとに、研究を遂行することができた。2019年度は予備調査と企業3社を対象に本調査を実施した。2020年度は前年度調査の分析を進めて、その一部を論文にまとめた。2021年度は追加調査が困難となり、資料収集やこれまでの調査で得られたデータの分析を行った。2022年度は追加調査を実施し、また、研究課題(1)(2)について研究発表を行い論文にまとめた。最終年度にあたる2023年度は、上記研究課題の(3)(4)について2件の研究発表を行った。1件は2022年度に実施した地方競馬の厩舎を対象とした調査に基づくもので、もう1件は2019年度に実施した地方の製造業の企業を対象とした調査に基づくものである。どちらも日本人側の意識を通して就労現場の外国人労働者に必要な日本語能力等を困難を考察している。これらは現在論文にまとめているところである。
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