• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

使用語彙から見た日中の学生の母語による意見文と中国人留学生の日本語意見文の比較

研究課題

研究課題/領域番号 19K00717
研究機関順天堂大学

研究代表者

大野 早苗  順天堂大学, スポーツ健康科学部, 教授 (40364955)

研究分担者 莊 嚴  秀明大学, 観光ビジネス学部, 准教授 (70348415) [辞退]
楊 虹  鹿児島県立短期大学, その他部局等【文学科】, 教授 (20571607)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード意見文 / 日中対照 / 語彙 / 国語教育
研究実績の概要

本研究は、日本の大学で学ぶ日本人学生と中国の大学で学ぶ中国人大学生がそれぞれの母語で書く意見文、および日本に留学している中国人大学生が日本語で書く意見文の特徴を使用語彙の面から比較し、その差異を明らかにしようとするものである。分析にあたっては、背景にあるそれぞれの国の国語教育、とりわけ中等教育における国語教育の影響を考察することが1つの大きな柱となる。
2021年度は、主に分析のための準備としての日中の国語教育の違いに関する研究に取り組んだ。具体的には、日本の高校の国語必修科目である国語総合の教科書と中国の語文(国語)必修1~5の教科書を取り上げ、そこで意見文の書き方がどのように教えられているかを比較した。その結果、日本では、主に社会問題に関するトピックが取り上げられ、論拠となる事実、データをもとに論を構成するよう教示されること、また、文章構成が明示的に教示され、特に冒頭で立場を明確に述べることが推奨されることがわかった。それに対して、中国では、愛や寛容精神といった観念的なトピックがしばしば取り上げられ、小説や詩歌などの文芸的な文章が意見文を書くための教材となっていること、また、文章構成は明示されず、意見を述べるための視点の取り方、論拠の選び方、論証の仕方といった順に単元が組まれていることなどが明らかになった。さらに、中国では、模倣、拡写、続写、書き換え、連想作文等といった作文教育のための様々な指導技法が開発され、意見文の執筆指導にも用いられていることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

当初の計画では、日中両国の大学で学生を集め、調査への協力を依頼することとしていた。しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により訪中がかなわず、また、長期にわたり日中ともに学生が在宅を余儀なくされたことから、調査の開始が遅れた。さらに、留学生が日本に入国できない状況が続き、留学生を対象とした調査も滞ることとなった。
今後も訪中の機会が得られるか、見通しが不透明であるため、2021年度には、中国の大学教員の協力を得て、中国の学生の意見文を収集した。また、日本の大学生については、オンラインでの調査に切り替え、意見文の収集を進めた。日中の大学生が母語で書いた意見文の収集は完了したものの、分析については、着手したばかりである。
留学生については、新型コロナウイルス感染症の流行以前に入国していた学生を中心にオンラインで調査を進めているが、分析対象とするのに十分な数を得られていない。

今後の研究の推進方策

上記のように、日中の大学生が母語で書いた意見文の収集を終え、分析に着手している。今年度は、両国の国語教育の影響を考慮に入れた分析、考察を進めることとしている。
また、留学生の入国が徐々に進んでいることから、留学生による日本語意見文については、方法に工夫をしながら、オンラインと対面を併用し、収集を進める計画である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症流行の影響により調査の開始が遅れ、それにより成果の発表のために計上した学会旅費等の一部が未使用である。今年度は、調査結果の発表を予定しており、そのための経費が必要となる。
また、中国語で書かれた意見文の分析に際し、正確を期すため、中国語母語話者の協力を仰ぐ予定こととしており、協力者への謝金が発生する見込みである。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 意見の述べ方についての日中対照研究―モダリティ表現を中心に2021

    • 著者名/発表者名
      大野早苗・楊虹
    • 雑誌名

      中国語話者のための日本語教育研究

      巻: 12 ページ: 16-31

    • 査読あり
  • [学会発表] 高校国語教科書における意見文指導の日中比較2021

    • 著者名/発表者名
      大野早苗
    • 学会等名
      第141回全国大学国語教育学会世田谷大会
  • [学会発表] 中国の国語教科書に学ぶ作文指導の方法2021

    • 著者名/発表者名
      大野早苗
    • 学会等名
      日本リメディアル教育学会2021年度東海・北陸支部大会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi