研究課題/領域番号 |
19K00733
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
生天目 知美 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (20549042)
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研究分担者 |
大島 弥生 立命館大学, 経営学部, 教授 (90293092)
居關 友里子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 音声言語研究領域, プロジェクト非常勤研究員 (70780500)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 研究室コミュニティ / 研究留学生 / 日本人学生 / 異文化間コミュニケーション / 待遇コミュニケーション |
研究実績の概要 |
本研究では、理工系大学の留学生と日本人構成員で構成されるゼミ等のコミュニティを対象に、理工系大学の留学生と日本人構成員による、所属ゼミでの公的・私的な待遇コミュニケーションの実態を明らかにすることを目的としている。 2021年度に行ったことは以下の通りである。 【目的①:理工系大学の留学生と日本人構成員による所属ゼミでの公的・私的な待遇コミュニケーションの実態を明らかにする】 ・2020年度に収集したデータ(平日1週間(1日8時間×5日間)×2回)を整理し、ELANを用いて研究室でのコミュニケーションの特徴について分析を行った。その結果、研究室のコミュニケーション機会のタイプを明らかにし、「一定時間滞在し各々が作業する」という研究室の性質から、会話参加が可能であることの表示をきっかけとして緩やかに会話の開始・離脱が繰り返されるという特徴が見いだされた(居關・生天目2022)。 【目的②:留学生・日本人双方の待遇コミュニケーションに関する意識・評価の調査から、留学生・日本人の接触場面で現れる課題を明らかにする】 ・日本人学生と留学生が混在する理系研究室に所属している留学生4名と日本人学生3名に対し、意識調査アンケートおよびインタビューを行った。インタビューは遠隔で行い、留学生データの文字化が完了した。留学生が日本人学生に対してどのように丁寧さを選択するかに注目したところ、研究室における上下関係といった立場によって日本語の丁寧さを選択するのではなく、相手との親密度を慎重に評価していることが分かった。相手との関係がそれほど親密ではないこと、相手に対する尊重の表現、適度な距離感があるという理由でデス・マス体を広範囲に使う場合と、相手との距離を縮めながら、普通体を使うチャンスを作っていく場合とに分かれることが分かった(生天目・居關2022)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2つの目的に沿ってそれぞれ分析が進んだが、得られたデータを十分に分析できていてるとは言えない。どちらの目的に対してもさらに分析を進め、得られた知見を成果として口頭発表、論文として公表していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
目的①については、得られた収録データをもとに、留学生と日本人学生のコミュニケーションの実態を詳細に分析する。コミュニケーションの参加方法や待遇的な特徴などに注目して、実態を明らかにしていく。得られた知見は積極的に学会発表や論文として公表していく。 目標②については、主に2点ある。現時点で進行している計画として、留学生のインタビューデータをM-GTAの手法により分析し、留学生自身がどのように研究室コミュニティに参画していこうとしているのかを明らかにし、論文として結果を発表する。もう1つは日本人学生のインタビューデータを継続して行い、M-GTAの手法等により日本人学生側がどのように留学生とともに研究室コミュニティに参画しようとしているのか分析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由として、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、旅費がほとんど使われていないこと、収集したデータの文字化作業の発注が少なかったことの2点が挙げられる。次年度も引き続き学会等の発表機会がオンライン開催であることが予想されるが、旅費が発生する場合にはその際に使用する。また、データの文字化作業については次年度では多く発注する予定であり、本年度使用されなかった資金をそこで使用する予定である。
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