研究課題/領域番号 |
19K00734
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
金 蘭美 横浜国立大学, 国際戦略推進機構, 准教授 (50757292)
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研究分担者 |
川村 よし子 東京国際大学, 言語コミュニケーション学部, 教授 (40214704) [辞退]
金庭 久美子 立教大学, 日本語教育センター, 特任准教授 (60733772)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 作文支援 / 段階別学習 / メール文タスク / データ収集システム / 独習 |
研究実績の概要 |
本研究では「段階別学習型作文支援システム」の構築を目指している。そのため、メール文データを収集する「データ収集システム」と学習者が作文の練習ができる「作文支援システム」の二つのシステムを開発する。 「データ収集システム」については昨年度開発したシステムの維持管理を継続的に行うとともに収集データについては新しいものから順に並ぶ形に改良した。システムを用いたデータ収集は本年度も継続して行っている。 「データ収集システム」は入力者用と管理者用のサイトという形に2分された構成であり、入力者用サイトでは属性別に作成された目次画面からタスクを選ぶ構造になっている。そのため、属性別に日本語母語話者と各レベルの学習者のデータを分けて収集することが可能である。また、管理者用サイトでは新タスクの作成と入力文の管理を行う。入力者用サイトで入力されたメール文は属性別、タスク別にサーバーに格納され、管理者はそれらのメール文をCSVファイルの形で取り出すことが可能である。現在、このシステムを用いて収集されたデータをもとにタスクごとに「必要表現」と「誤用表現」の抽出を行い、リスト化を行っている。 さらに、本年度は昨年度基本設計を行った「作文支援システム」の学習者用サイトにおいて一部のタスクを対象に運用に向けた準備を開始した。学習者用サイトではタスクはレベル別に提供され、学習者は希望するレベルのタスクが選択でき、各タスクの終了ごとに必要な表現が使われているか、誤用はないかの判定を行う仕組みに整えた。この判定は上記収集システムで得られた必要表現及び誤用表現のリストをもとに行う仕組みである。さらに、各タスク終了後、学習者は再挑戦するか次のタスクに進むかが選択可能であり、中級のタスクがすべて完了した場合には上級者向けのサイトに誘導する仕組みに整えた。以上のような形で、次年度、学習者用サイトを完成させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は、1年目に開発したデータ収集システムを用いて、日本語母語話者のメール文データおよび、日本語学習者のメール文データを収集する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大により、調査協力者の募集が難しい状況が続いていることで研究計画より予定が遅れている状況である。特に、海外からの留学生の受け入れがほとんど中止になったことから、主な調査協力者である韓国人留学生や中国人留学生の募集が難しくなったこともあり、データの収集が予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
日本語学習者のデータの場合は、今後、調査協力者の母語を問わずデータを収集する予定である。また、現在のような新型コロナウイルスの感染拡大が続いている状況の中では、調査協力者の募集、対面による調査関連説明など、既存のデータ収集の方法で調査をすることは困難であることから、調査協力者募集についてはメール利用などの方法で依頼するなどにより、データ収集を続けたいと考えている。同時に、作文支援システムに必要な語彙・表現・誤使用のリストの充実を図り、作文支援システムの構築のためのリストの整備を進めていきたい。また、それらをもとに学習用サイトを完成させ、段階別学習型作文支援システムのweb上での本稼働を目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度と同様、新型コロナウイルス感染拡大によりさまざまな面において研究の進捗が遅れている。まず、国内外の学会中止により予定していた学会発表を行うことができなかったことにより、次年度の学会発表に対応するため、繰り越す必要がある。また、調査協力者の募集や調査の実施などについても同様であり、次年度引き続きデータ収集を行う必要が生じたため、次年度、謝金・物品等の項目で支払いが生じる。調査協力においては、国内外の感染状況をみながら、調査方法の一部を変更するなど柔軟に対応していきたい。学会発表についても、今後の感染状況に対応して、オンライン開催の学会等への参加も視野に入れつつ、国内外で研究成果を発信していく予定である。さらに、本システムの本格的な運用にあたっては、引き続きサーバーの維持管理が必要なことも理由として挙げられる。
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