研究課題/領域番号 |
19K00739
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
御舘 久里恵 鳥取大学, 教育支援・国際交流推進機構, 准教授 (60362901)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 日本語教育コーディネーター / 実践知の形成 / 資質・能力 / 人材養成 |
研究実績の概要 |
研究初年度である2019年度は,調査を行い,データを収集した。 本研究の対象である大学・日本語学校・地域における日本語教育コーディネーター(またはその役割を担っている人材)それぞれ2名ずつ,計6名に調査を依頼した。うち1か所については,もう一名のコーディネーターにも協力していただけることとなり,計7名となった。それぞれにメール等で調査の承諾を得た後,調査日程を調整し,9月24・25日に1名(地域),11月15・16日に1名(大学),2月13日に1名(日本語学校),2月25・26日に2名(地域)のコーディネーターに調査を行った。3月3日に日本語学校のコーディネーター1名に調査実施予定であったが,新型コロナウイルス感染症の影響で当該日本語学校が休校となったため,来年度に持ち越すこととした。また,大学のコーディネーターもう1名については,年度内に日程調整が叶わず,来年度に持ち越すこととした。 調査を始める前に,改めて依頼書を渡してデータの使用目的・範囲・個人情報の保護について説明した上で,承諾書に署名をもらった。調査はインタビューと実践の観察から成り,インタビューでは,調査協力者に対し日本語教育(または学習支援)活動に関わるきっかけから現在までの活動と,その時々の課題や葛藤,解決の過程を中心に,半構造化形式で聞き取りを行った。さらに,日本語教育(または学習支援)活動や他の教員・支援者との話し合い等,コーディネーターとして行う複数の実践を観察し,フィールドノートに記録した。フィールドノートには,空間における配置や参与者の動き,調査者が気づいた点等についても併せて記録した。 調査終了後なるべく間を置かずにフィールドノートの追記・修正等を行い,またインタビューデータは全て文字化し,今後の分析資料として整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査を実施できた4か所5名については,ほぼ計画通りに調査を実施することができた。またフィールドノートは調査終了後すぐに調査時に記録できなかった部分を記録でき,インタビューの録音データについても全て文字化し,分析データとして体裁を整えることができた。 調査方法及びデータ整理のノウハウができたため,今年度実施できなかった2名についても,新型コロナウイルス感染症が収束した段階で,遅滞なく調査ができるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,2019年度に実施した調査のデータ分析を行うと共に,2019年度に実施できなかった2か所での調査を行う。 インタビューデータは,質的データ分析ソフト(MAXQDA)によりコーディング分析を行い,日本語教育コーディネーターの実践における葛藤や直面する課題,及びその解決過程において得られた実践知やコーディネーターとしての能力について,共通するテーマを抽出する。実践データについては,実践活動を,種類(教室活動/ミーティング/関連機関との連絡等の分類),形態(空間配置,参与者の位置,コミュニケーションの媒体等),構成(日本語コーディネーターを中心とした参与者の動きと関わり方・相互行為のあり方等)といった観点から分析し,日本語教育コーディネーターが果たしている役割とそこで発揮されている能力について整理する。そして,インタビューにおける調査協力者自身の省察から得られた,日本語教育コーディネーターとしての実践知や能力と,実践活動のデータの分析から得られた役割や能力を照らし合わせて,各調査協力者の日本語教育コーディネーターとしての職能の形成のされ方をまとめる。 新型コロナウイルス感染症の収束状況により,残り2か所での調査がいつできるかわからないが,これまでに収集できたデータの分析を進めることによって,分析のノウハウをつかみ,残り2か所での調査が実施できた後すぐに追加の分析ができるように進めたい。 2021年度は,これまでに各所で実施されていた日本語教育コーディネーター養成の実施内容や,文化審議会国語分科会による日本語教育コーディネーターに必要とされる資質・能力及び養成の内容を,本研究の分析結果と照らし合わせ,その妥当性を批判的に検証する。そして,日本語教育コーディネーターの養成のあり方についての指針や具体的な養成プログラム案を,ガイドラインの形で作成したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響等により,2か所での調査が実施できなかった。 2020年度は,2020年度分として請求した助成金と合わせて,2か所での調査旅費,インタビューデータの文字化委託料,分析用参考図書,成果発表旅費に使用する予定である。
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