最終年度(3年目)となる2021年度は,大学・日本語学校・地域における日本語教育コーディネーターの職務内容と,その職務において発揮されている知識・技能・態度を明らかにし,日本語教育コーディネーターに必要とされる資質・能力をまとめて研究成果とした。 日本語教育コーディネーターの中でも,その活動場所(大学・日本語学校・地域(県/市町村))や職位によって,人材養成や他機関との連絡・調整,組織管理といった職務が求められるかなど,一部職務内容の違いが見られたが,プログラムのデザイン・コーディネート,学習者対応,教員・ボランティアの調整,会議・情報共有,行事等の企画・運営といった主要業務は共通していた。また,日本語教育コーディネーターのインタビューでの語りや実践の観察から明らかになった,日本語教育コーディネーターに必要とされる資質・能力はおおむね共通しており,以下の10点に集約された。「学習者の状況・ニーズを把握する」,「必要な情報・知識を得る」,「機能的なシステムや体制をつくる」,「協働的関係をつくる」,「適性や事情を考慮し活かす」,「仕事や役割を任せる・振る」,「明確に素早く意思を示す」,「俯瞰する・長期的視野を持つ」,「割り切る(固執しない)」,「責任を自覚する」。10項目には特に対人関係能力に関するものが多かったことから,今後の日本語教育コーディネーター人材の養成においては,この点を重視していく必要があると考える。 これらの成果を整理して英文で論文にまとめ,2022年度に編著書として発行する予定である。
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