研究課題/領域番号 |
19K00740
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小山 悟 九州大学, 留学生センター, 准教授 (50284576)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 日本語教育 / 批判的思考 / 説明実践 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、学習科学の分野で広く行われているデザイン実験という新たな研究手法を用い、留学生対象の日本語の授業で、学生たちが「聞き手の視点と理解状況を意識したわかりやすい説明」ができるようにするための指導法を開発することである。 説明実践が持つ利点として先行研究で指摘されていることの1つに、他者に説明することによって聞き手だけでなく話し手自身の理解も深まるという点がある(教え手学習効果)。しかし、その一方で、学生の中には単純な知識の再現で留まってしまい、知識構築を行おうとしない者も少なくないことが指摘されており、この点が説明実践を導入する際の大きな課題となっている。 2020年度は、①本学の短期留学コースで行う上級の日本語授業と②香港の日本語教育機関で行う短期集中講座で2回目のデザイン実験を行うとともに、③日本人学生対象の教養教育でも比較データの収集を行う計画であった。①と③については新型コロナの世界的な流行により急遽オンラインでの実施となったが、予定どおりデータの収集を終え、現在分析を行なっているところである。ただ、本研究は、前年度のデータを統制群、今年度のデータを実験群と見立てて分析を行うデザイン実験を採用しているため、実験環境の異なる2つのデータ(一方は対面、もう一方はオンライン)をどのように分析・比較するかが課題となっている。 一方、②については香港への入国が叶わず、加えて現地の政情不安からオンラインでのデータ収集も中止となってしまった。そのため、2020年度に行う予定であった第2回調査を今年度に延期し、実施することで現在先方の日本語教育機関と交渉中である。 なお、これまでの研究成果については、2021年3月に中国北京で行われたシンポジウムの基調講演の中で報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、前述のとおり、①本学の短期留学コースで行う上級の日本語授業と②香港の日本語教育機関で行う短期集中講座で2回目のデザイン実験を行うとともに、③日本人学生対象の教養教育でも比較データの収集を行う計画であった。①については、実験環境の異なる2つのデータをどのように分析・比較するかという課題は残されているものの、予定どおりデータの収集を終えることができた。③についても新型コロナウィルス蔓延の影響から被験者の確保が難しかったが、どうにかデータの収集を終えることができた。ただ、②については香港への入国が叶わず、加えて現地の政情不安からオンラインで講座を開講することもできなかったため、一年延期となってしまった(2021年度はオンラインで実施する方向で現在先方の日本語教育機関と交渉中である)。
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今後の研究の推進方策 |
①本学の短期留学コースで行う上級の日本語授業については、2021年5月現在、オンラインで授業を行い、予定どおりデータの収集を行なっている。 ②香港の日本語教育機関で行う短期集中講座についても前述のとおり、今夏にオンラインで実施する方向で先方と交渉中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
6月に香港の日本語教育機関で実施予定だった実験・調査が新型コロナウィルス蔓延の影響で入国できず、中止となったことで、6泊7日分の旅費と宿泊費及び日当がそのまま残ってしまったため。また、収集したデータの文字起こし等の経費もそのまま残ってしまったため。
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