研究課題/領域番号 |
19K00749
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
小森 早江子 中部大学, 人文学部, 教授 (60221248)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 日本語学習者作文データ / 日本語構文解析 / 統語発達指標 / 縦断調査 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本語学習者の縦断調査を実施して作文データを収集し、日本語学習者の統語発達を複雑性の観点から測ることができる指標を開発し、開発した統語発達指標を検証することを目標とする。学習者の統語発達を調べる方法として、英語習得研究でおこなわれてきた言語発達指標の中からMDD、MDHやSyntactic Complexity Analyzerの複雑性指標を検討し、日本語の統語発達を測ることができる指標を開発する。 学習者の統語の発達を直接観察するために2年間の縦断調査を実施しコーパスを作成する。作文データだけでは非用によって回避される構文は観察できないため、産出課題タスクによるデータも収集する。 2019年度は、7月に研究協力者である大連海事大学(中国)の李文平氏を招聘し、実験データ収集やデータ分析などに関して協議した。9月と12月の2回、2年生から4年生までを対象に合計49人分(延べ数)を収集したが、その後は新型コロナウイルス感染症の蔓延により、データ収集が難しくなった。収集したデータについては、電子化した。データ収集が難しくなったため、代わりに電子化データに構文分析のためのタグ付け作業を計画した。タグ付けの方式を検討し、2020年度末までに母語話者データおよび学習者データ各200件程度に分析タグを付けた。このデータを使って詳しい分析をおこなう予定である。 2021年度は、新型コロナ感染症について中国国内の状況の改善により、日本語学習者の作文データ収集を再開する段取りができた。今後は約3か月おきに30人程度ずつ6回のデータ収集を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データ収集について、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、中国国内の大学が閉鎖され、2020年1月以降年末まで収集ができなくなった。中国国内の感染症が収束に向かい、実験データの収集を依頼できる状況となり、2021年3月からデータ収集を再開した。今後2021年度内に合計6回(2021年3月、5月、7月、9月、11月、2022年1月)の収集を予定している。 学会発表としては、2019年8月にパリ大学で開催された SyntaxFest2019において、本研究について発表した。発表タイトル”Examining MDD and MHD as syntactic complexity measures with intermediate Japanese learner corpus data”としておこない、参加者から貴重な質問やコメントがあった。それらを参考に、つぎの発表に向け分析を進めている。 残念ながら2020年5月末開催予定だったJSLS2020は新型コロナウイルス感染症の影響により中止となった。今後は2021年9月に開催予定のQUALICO2020でポスター発表を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの蔓延により2020年度のデータ収集および成果発表の計画がほとんど実施できなかったが、2021年度はデータ収集と構文解析を進めていく。2020年度末に実施した項構造分析タグ付けデータの解析と、すでに収集したデータおよびこれから収集するデータの電子化もおこなう。産出課題用のタスク開発もおこなう予定である。 成果発表は、本年度に延期されたQUALICO2020については学会の指示を待っているが、おそらく遠隔実施となると思われる。今後も対面による学会発表は難しいと考えられるため、できるだけ論文執筆による成果発表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度のデータ収集について、新型コロナウイルス感染症の影響により、中国国内の大学が閉鎖され、2020年1月以降年末まで収集ができなくなった。その後中国国内の感染症が収束に向かい、実験データの収集を依頼できる状況となった。2021年3月からデータ収集を再開した。2021年度内に合計6回(2021年3月、5月、7月、9月、11月、2022年1月)の収集を予定している。
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