研究課題/領域番号 |
19K00759
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
瀧沢 広人 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (30824940)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | WTC / 小学校英語 / 小学校教員 / 研修 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、小学校英語教師の英語を用いてコミュニケーションを図ろうとする意思(Willingness to Communicate, 以下WTC)の実態を調査することである。国内では、大学生、中・高校生、そして小学生までWTC研究が進んでいるが、肝心の授業者へのWTC調査は、行われていない。そこで、小学校教員のWTCの実態や傾向を把握し、自治体で行われている小学校英語教員研修等への「教員のWTCを高めるための基礎資料」として提示することをねらいとしている。 2年次の昨年度は、教員向けのWTC調査を、国際的志向性や英語に対する学習意欲、コミュニケーション不安、自身の英語能力、外向性、日本語を用いてのWTC、新たに作成した新・WTC質問紙等、WTC及びその周辺要因を調査することができた。令和3年2月に、東京、埼玉、愛知、滋賀、岐阜の計13校、小学校教員(n:185)を対象にアンケート調査を実施した。その結果、現在のところわかっているのは、下記の点である。 ・WTCは、100点中83点以上が高いWTCとされ、中程度は52~82点、低いWTCは51点以下である(McCroskey, 1992)。調査の結果、英語を用いてのWTCの平均は32.89点であり、WTCの高い教員の割合は約3.2%、中程度が19%、低い教員は78%であった。 ・周辺要因においては、外向性を除くすべての項目で、相関がみられた。相関がやや強く見られたものに、英語WTCと日本語WTC(r=.589)があり、コミュニケーションを図ろうとする意思は、日本語と英語で相関があることがわかった。また、今回小学校教育向けに新しいWTCを作成した。その新・WTCとMcCroskeyのWTC調査では、r=.408の相関がみられ、他の周辺要因より高かった。今後、共分散構造分析を行い、関連要因の予測を先行研究と比較し、確認する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第1次調査の「小学校教員のWTC調査」は完了し、現在分析を進めているところである。今後、教員のWTCと周辺要因についての関連性を整理し、先行研究と比較しながら、第1次調査の整理を行う。 本研究については、やや遅れており、予定では、昨年度、児童へのWTC調査と英語指導者(担任)へのWTC調査を行い、教師のWTCと学級児童のWTCに関連性があるかどうか調査するところであったが、第1次調査の調査用紙作成の際、調査用紙の検討に時間がかかり、満足のいく形にしていくために、3度の予備調査を実施したり、調査協力いただいた教員に調査紙について改良点を尋ねるなど、調査用紙の確定に時間を要した。そのため、第1次研究「教員向けのWTC質問の開発」の段階で留まっているのが現状である。しかしながら、多くの小学校で、多くの質問項目のある中、受け入れていただいたのは、昨年度の研究の大きな成果と言える。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の研究では、昨年度末に実施した調査データを整理し、WTCと関連要因との予測を、共分散構造分析にかけ、先行研究と比較する(6月)。その基礎調査の上で、第2次研究「教員及び児童へのWTC調査」を行い、教員のWTCと児童のWTCの間に、何らかの相関がみられるかどうかを調査する。そのために、再度、教員向けのWTC調査用紙を検討(8月)し、児童向けのWTC調査用紙を確定(8月)し、学校に調査依頼を行う(9月~11月)。第二言語を用いてのWTCを高めるために、どのような学習やプログラムが必要なのかを調べ(6月~12月)、第3次研究の「教員プログラムへの提唱」を提案する。さらに、学会で、研究の成果を発表の機会を得、研究の整理を行い、また研究助言をいただき、研究推進を深めていく。 まだまだWTC研究については、新しく学ぶ所もあるので、今後も様々な研究成果に目を通し、価値ある研究成果が提出できるよう研究に力を入れていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
現況により、出張や研修の機会が減り、使用予定であったものが実施できず、次年度使用とした。また、当該研究に関わり、今年度の出張旅費、関連書籍の購入、パソコンや周辺機器の購入等に充て、よりよい環境下で、研究推進を行い、成果につなげていきたい。
|