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2020 年度 実施状況報告書

学術研究論文におけるヘッジの使用の比較分析とヘッジの習得に関する考察

研究課題

研究課題/領域番号 19K00761
研究機関山口大学

研究代表者

藤村 香予  山口大学, 経済学部, 准教授 (80736554)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードPragmatics / Hedges / Metadiscourse / Academic Writing / Applied Linguistics
研究実績の概要

本研究は, 英語のアカデミックライティングで重要とされている「ヘッジ (垣根表現, 緩衝表現,配慮表現)」の使用を英語母語話者と日本語母語話者の学術論文において比較分析することで, 日本語母語話者の英語のヘッジの習得と使用について語用論の観点から考察するものである。
2020年は, 学術論文のヘッジの使用を日本人研究者の日本語論文と英語論文の間で比較し分析した。それぞれのグループで理系論文と文系論文を分析した結果, 理系論文では比較的類似した結果が見られたが, 文系論文では, 日本語論文と英語論文の間でヘッジの使用数に違いが見られ, 文系の日本語論文においては, ヘッジの使用が英語論文と異なることが明らかになった。該当年度は他に, 英語学習者へ向けてヘッジの使用を紹介するために, 授業での導入と練習問題を提案し書籍に掲載した。ヘッジが使われていない文章とヘッジが使われている文章の間で, 印象がどのように異なるかを考え, ヘッジの種類を紹介し, 様々な会話の状況でヘッジを使いどのように発話に参加することができるかを考える練習問題を提案した。
本研究の成果の一部は, 2020年12月に JAAL in JACET 日本応用言語学会学術交流集会で発表され, 10月の「Pragmatics Undercover:Online & in Class」では練習問題について発表した。 ヘッジの習得のための練習問題は『Pragmatics Undercover : The Search for Natural Talk in EFL Textbooks』の一部に掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は英語のアカデミックライティングにおける「ヘッジ(垣根表現, 緩衝表現,配慮表現)」の使用を英語母語話者と日本語母語話者の学術論文のデータを使って分析している。2019年は学術論文におけるヘッジの使用を英語母語話者と日本語母語話者の理系論文と文系論文の間で比較し分析した。ヘッジの区別と分頚は, Hyland(1996) のヘッジの定義に基づいて行われた。研究で便用した研究論文のデータでは, 筆者の主張や研究結果の提示に使われているヘッジの数と種類は分野によって多少異なることが確認できた。理系論文と文系論文では論文全体の語彙数が異なり, 識論される内容も異なることから使用されているヘッジの数と種類も異なっていた。
2020年は学術論文のヘッジの使用を日本人研究者の日本語論文と英語論文の間で比較し分析した。それぞれのグループで, 理系論文と文系論文を分析した結果, 理系の研究者は日本語論文と英語論文において, 共に, ある程度のヘッジを使用していた。一方, 文系の研究者の日本語論文におけるヘッジの使用は少なかったが, 英語論文では英語のヘッジの使用は増加し, 日本語論文と英語論文におけるヘッジの使用が異なっていた。該当年度は他に, ヘッジの使用を英語会話に取り入れるための練習問題を作成し, 書籍に掲載した。
本研究の成果の一部は2020年12月に行われた JAAL in JACET 日本応用言語学会学術交流集会で発表し, 10月の「Pragmatics Undercover:Online & in Class」では練習問題を発表した。ヘッジの習得のための練習問題は『Pragmatics Undercover:The Search for Natural Talk in EFL Textbooks』の一部に掲載された。

今後の研究の推進方策

本研究では、英語母語話者による英語の論文の他に日本語母語話者による英語の論文と日本語の論文の3つのグループにおいてヘッジの使用を分析し, 英語母語話者と日本語母語話者によるヘッジの便用の違いを明らかにするとともに, 英語と日本語のことばの概念と使い方の違い, 言語間でのブラクマティック・トランスファー(語用齢的転移)について考察する。また, 日本人英語学習者が使用している教科書においてもヘッジの使用を考察していく。
今後は, 大学の英語のアカデミックライティングで使用されている教科書において, 英語論文執筆のために, ヘッジの使用の紹介がどのくらいなされ, 日本人英語学習者に認識されているかを大学で使用されている教科書をもとに分析していく。調査においては, 英語論文におけるヘッジの紹介がされ, 種類と使用が十分に説明されているか, 練習問題にはどのようなものが取り入れられているか, 教科書で使用されている段落や論文の例においてどのくらいヘッジが使用されているかについて分析していく。その後, 英語母語話者による英語の論文の他に日本語母語話者による英語の論文と日本語の論文の3つのグループにおいてこれまでのデータ分析をまとめ, 3つのグループの間でヘッジの使用の類似点と相違点について考えられる理由を分析し, 語用論の観点から, 日本人英語学習者におけるヘッジの習得について考察する予定である。

次年度使用額が生じた理由

該当年度は, コロナ感染症の流行のためオンラインで学会が開催され, 学会参加のための旅費が未使用となり, 未使用額が生じた。次年度使用額については, 2021年度分と合わせて本研究で必要な消耗品である書籍や資料購入に使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] An Analysis of Japanese Writers Hedging Use in English and Japanese Academic Articles2020

    • 著者名/発表者名
      Kayo Fujimura-Wilson
    • 学会等名
      第3回 JAAL in JACET(日本応用言語学会 学術交流集会)
  • [学会発表] Use of Hedging in Interaction2020

    • 著者名/発表者名
      Kayo Fujimura-Wilson
    • 学会等名
      Pragmatics Undercover: Online & In Class
    • 招待講演
  • [図書] Pragmatics Undercover: The Search for Natural Talk in EFL Textbooks2020

    • 著者名/発表者名
      Talandis Jr, J., Ronald, J., Fujimoto, D., & Ishihara, N. (Eds.)
    • 総ページ数
      210
    • 出版者
      The Japan Association for Language Teaching
    • ISBN
      978-4-901352-64-2

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公開日: 2021-12-27  

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