研究実績の概要 |
本研究は, 英語のアカデミックライティングで重要とされている「ヘッジ (垣根表現, 緩衝表現,配慮表現)」の使用を英語母語話者と日本語母語話者の学術論文において比較分析することで,日本語母語話者の英語のヘッジの習得と使用について語用論の観点から考察するものである。 2023年は,英語母語話者と日本人研究者の英語で書かれた文系研究論文と日本人研究者の日本語で書かれた文系研究論文におけるヘッジの使用を比較分析した。これまでの日本語のヘッジの研究は配慮表現を中心に主に話し言葉において行われていたが,本研究では書き言葉において,日本語の配慮表現と和らげ語の中からヘッジの機能を持ったもの,日本語文法において助動詞の意味を含む可能動詞など日本語で書かれた論文内でヘッジとして使用されていることばを日本語のヘッジとして取りまとめて分析した。結果においては,英語母語話者に比べて日本人研究者は英語の論文ではヘッジの使用が少なく,日本語文系論文においては日本語のヘッジの使用が更に少ないことが確認された。一般的に英語で書かれた文系論文では,ヘッジを使用し直接的な強い主張をひかえ,読み手に配慮した文章を使用していることがわかっている。日本語と英語の言語間による文系論文におけるヘッジの使用の違いを認識し,日本人英語学習者における英語のヘッジの使用の適切な習得を目指した指導が必要であることが明示された。 分析結果は,11月のThe 49th Annual International Conference on Language Teaching and Learning & Educational Materials Exhibitionで発表し,「Use of Hedges in English and Japanese: A Comparative Study of Empirical Research Articles by Native English and Japanese Writers」のタイトルで論文にまとめた。
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