令和4年度は、依然として対面でのやりとりが制限される状況において、オンラインでの交流を想定したデータ収集および教材開発を行った。 当初の目的であった学内の中国語学習者と中国語圏の留学生との交流活動については、コロナ禍の影響もあり、大きな進展は無かったものの、オンラインでの交流を想定した各種データを収集し、それをCan-doおよび教材開発につなげることができた。とりわけCEFR-CVにおいて示されたような、「オンラインでのやりとり」(Online Interaction)に関する内容を含む、A1-A2レベルの教材を開発できたことが大きな成果であった。 研究期間を通して、CEFRの「行動中心アプローチ」および「複言語主義」に基づく、A1レベルからA2レベルのCan-doや、各種パフォーマンス課題およびタスク、評価のためのルーブリック等を含む教材開発を行い、それを出版することができた。同時にヨーロッパ言語ポートフォリオを参照しつつ、「中国語ポートフォリオ」「中国語ポートフォリオ2」を発行した。また、中国語圏からの短期留学生と日本人の中国語学習者による国際協働学習を実施し、そこで用いられるコミュニケーションストラテジーや学習効果等の分析を行い論文発表した。これらのことから、当初の目的であった、学習過程における《留学生との交渉・協働》を前提として、それを《教材》《パフォーマンス評価》とリンクさせた、新しい中国語教育モデルを開発するという点において、一定の成果を出すことができた。
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