研究実績の概要 |
本研究では、大学初年次生対象の英語授業と大学2、3年次生対象の英語による専門科目(EMI)をスムーズに結びつけるための英語カリキュラムを構築し、そのために有用となるWeb教材を開発することを目的としている。当該年度は、英語による専門科目(EMI)クラスで必要とされる英語力と、通常の英語クラスで獲得される英語力を、特に語彙の獲得に焦点を絞って比較分析を行った。 通常の英語クラスでは、TOEFL-ITPのスコアは450~500点、獲得語彙数は4,000~4,500語であったのに対し、EMIクラスでは、TOEFL-ITPのスコアは500~550点、語彙獲得数は、4,500~7,000語であった。TOEFL-ITP500~520点レンジの学生がEMIクラスへの適応に最も苦労しており、4,500~6,000語レベルの語彙増強が課題であることが明らかとなった。 本研究を通じて明らかになったのは、欧州の大学で行われているEMIクラスの受講者のレベルはCEFRで言うとC1レベルであるのに対して、日本の大学で行われているEMIクラスでは、受講者のレベルがB2程度のレベルである。そのため、欧米で行われいるようなEMIの手法で授業を行ってしまうと日本人学生は授業についていけなくなってしまう。そこで有効なのがCLIL(内容言語統合型学習)の手法を用いた授業方法であるが、CLILの理論を理解して授業を実施できる教員はほとんどいない。通常の英語クラスとEMIクラスの間に、CLILを用いた科目を設置することが、日本の大学でも必要といえる。 WEB教材に関しては、EMIクラス用の教材を作成するまでには至らなかったが、中学生レベルの基礎的な語彙(リーディング語彙、リスニング語彙)教材を作成した。これらの教材を今後、更に拡張していく予定である。
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