研究課題/領域番号 |
19K00771
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
日臺 滋之 玉川大学, 文学部, 教授 (60459302)
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研究分担者 |
LIA Steve 玉川大学, リベラルアーツ学部, 教授 (10341900)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 学習者コーパス / 英語で言えなかった表現 / 日英パラレルコーパス / 発信語彙 / iOS用のフラッシュカード / Word game-Bingo / 文法標識による検索 / 自己表現 |
研究実績の概要 |
下記のコーパスを構築し、自己表現活動のための教材作成を行った。 1.EasyConc for Izumi HS1.0.xlsmの開発(Windows仕様)~宮城県立泉高校英語科の協力を得て、スピーキングテストでの英語のディスカッション等で、高校生が英語で言いたかったけれど言えなかった表現について日本語で書いてもらい、日本人英語教師と英語母語話者とで英語に翻訳し、日英パラレルコーパスを構築した。 2.FlashCard for IzumiHS1.0.fmp12の活用(iOS仕様)~EasyConc for Izumi HS1.0.xlsmの日本語と英語のデータをもとに発信語彙に着目し、高校生が英語にしにくい日本語表現を分析し、発信語彙リストを作成した。そのリストで頻度の高い語彙をもとにiPhone、iPad用のフラッシュカードの教材を開発した。 3.BingoSheet for FlashCard of IzumiHS1.0.xlsmの開発(Windows仕様)~FlashCard for IzumiHS1.0.fmp12に出現する使用頻度の高い発信語彙をもとに、Bingoゲームのシートを自動に作成する教材ソフトを開発した。 4.EasyConc_tagged_for_IzumiHS1.2.1.xlsmの開発(Windows仕様)~EasyConc for Izumi HS1.0.xlsmに出現するすべての英単語に、CLAWS7を用いて、文法標識を付与し、文法用語から検索することができるソフトウエアを開発した。これにより、受身形などの表現を文法標識から検索することが可能となった。 上記ソフトウエアは、次のURLからダウンロードすることが可能である。http://www.tamagawa.ac.jp/research/je-parallel/izumishs/
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、英語表現コーパスの開発と拡大、そして中高の英語教員に活用してもらうことを目標としている。 1.高校生の英語で言いたかった表現についてのデータの収集~これまでの課題として、中学生の英語で言いたかった表現に比較し、高校生のデータ数が極めて少なかった。2019年度は、宮城県立泉高校英語科との連携により、高1、高2の英語のスピーキングテストでのディスカッション等で高校生が英語で言いたかったけれど言えなかった表現をテスト後に回収し、英語に翻訳し、データ数を確保することができ、EasyConc for Izumi HS1.0.xlsmの開発をはじめ複数のコーパスツールの開発を行うことができた。 2.中高の英語教師の参加者が多い学会での発表の機会を増やす~これまでの成果を、英語コーパス学会語彙研究会で「言いたかったけれど言えなかった表現コーパス:中高生の発信のために必要となる語彙―EasyConcの開発と活用―」(2020年1月25日中央大学後楽園キャンパス)と題して発表した。参加者の多くは大学教員であり、本研究が「日本人中高生のための英語表現コーパスの構築とその活用」であることを考慮すると、「英語授業研究学会」のように中高の英語教員の参加者が多い学会での発表機会を増やしていきたい。 3.開発ソフトウエアのダウンロード環境を整備する~2019年度開発したEasyConc for Izumi HS1.0.xlsm、FlashCard for IzumiHS1.0.fmp12、BingoSheet for FlashCard of IzumiHS1.0.xlsm、EasyConc_tagged_for_IzumiHS1.2.1.xlsmの3つのソフトウエアはWebを介して宮城県泉高校英語科の教員のみが使用できる状況であり、全国の高校の英語教師がダウンロードできるように環境整備したい。
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今後の研究の推進方策 |
解決する課題として以下のことが挙げられる。 1.検索スピードを上げるプログラミングの改善~2019年度までに構築した日英パラレルコーパスEasyConc5.2.1.xlsmと文法標識を付与したEasyConc_tagged2.6.1.xlsmには、3,478件の中高大学生の英語で言えなかった表現が収められている。これらのソフトウエアの抱える問題として、検索に時間がかかるようになってきたことである。計算ソフトExcelならではの問題かと思われる。速度を上げる工夫として、学校種による選択機能を付加し、先ず学校種で検索し、その後調べたい表現で検索するという2段構えのプログラミングをすることで検索速度を上げる工夫が必要である。 2.学校種の検索機能を付加することにより教師のニーズを満たす工夫~中学教師にとって中学生がどのような自己表現で躓いているのかを知るためには中学生のデータをまず検索することができればよい。現在の使用では、中学高校大学のデータが一度に検索され表示されるので、中学生には不要なものまで表示される。iOS仕様のEasyConc for iPhone1.3.fmp12、EasyConc for iPad1.3fmp12の検索アプリの検索スピードは非常に早く全く問題はないが、データの表示数が多く、教師が必要とする表現を拾い出すのに手間がかかる。この問題を改善するためには、学校種による選択をし、必要な表現を検索する機能を付加する必要がある。 3.英語の読み上げ機能の追加~本研究で構築しているソフトウエアは、表現辞典として生徒も使用することができるものである。英語を苦手にする生徒にとって、英語を読み上げる機能がソフトウエアに付加されており、気軽に英語の音声を聞くことができることが望ましい。英語を苦手とする学習者のニーズに応えるためにも英語の読み上げ機能を追加したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、昨年度まで使用してきたデスクトップパソコンとノートパソコン、そしてまたiPadが古いながらも稼働していたので購入を控えていた。次年度は上記の備品の新規購入が必要となる予定である。
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備考 |
泉高校コーパス http://www.tamagawa.ac.jp/research/je-parallel/izumishs/ ユーザー名:izumi パスワード :izumi19
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