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2022 年度 実施状況報告書

日本語母語話者の韓国語運用を阻害する漢語動詞のヴォイスの類型化と理論化の試み

研究課題

研究課題/領域番号 19K00775
研究機関神奈川大学

研究代表者

尹 亭仁  神奈川大学, 国際日本学部, 教授 (70409879)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード韓国語 / 漢語動詞 / ヴォイス / 使役形 / 受身形 / 社説 / 小説 / 語彙調査
研究実績の概要

『李箱文学賞作品集1986-2015』および「中央日報社説2016-20」の語彙調査から得られた「VN-sikida」のデータを用いて、論文「韓国語の「漢語VN-sikida」の用法と派生上の特徴--2つの語彙調査の結果を中心に--」を完成した。「sikida形とge hada形は生産性があり、さまざまな動詞が取り得る形である」や「-sikidaは-hadaが付くものの多くと交替が可能です。」という先行研究の主張が適切ではないことをデータの分析の結果を以て論じた。
「学習者視点」を取り入れるべく日本の2つの小規模辞書から得られた「VN-する」で作成した「日本語基本漢語動詞1290」に基づき、論文で両言語の漢語動詞間にみられる正の転移と負の転移の様子を明らかにし、韓国語の初級・中級・上級の授業で取り上げる漢語動詞の語数の目安も提示できた。
漢語動詞の受身構文のプロトタイプを策定すべく、『李箱文学賞作品集1986-2015』のデータを対象に動作主標示の「ege(se)/hante(se)/(u)robute/e yihada」の調査を行ない、延べ語数234語、異なり語数166語の用法を確認した。234語の内訳をみると、「VN-doida」が104、「VN-badda」が55、「VN-danghada」が73で、「VN-danghada」の用例が「VN-badda」より多い結果が出た。現在この結果に基づいてプロトタイプの策定を急いでいる。166の漢語VNに、他動詞が151語で当然ながら多い中、doida/hada共存動詞の「感染・連累・従属・脱落・風化」、自動詞の「枯死・義絶・行悖」、自他両用動詞の「交渉・淘汰・絶縁」、形容詞の「無顔・猖披」、常にdoida形で用いられる自動詞の「汚染・発覚」が含まれていることが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

《中央2016-20》での使用語彙の偏りを補うために『李箱文学賞作品集1986-2015』の短編小説約250本(30年分)を対象に,「VN-doida」「VN-danghada」「VN-badda」の語彙調査をしている。特に「VN-doida」の場合、使用頻度も高く用法が多岐にわたっているため、23種類の活用形で検索し整理をしているが、他動詞用法のみならず「doida/hada共存動詞」「自動詞」「自他両用動詞」「形容詞」「doida自動詞」の用法が必ず含まれているため、はじく作業にかなり時間がかかっている。この作業は上記の6つの品詞分類が分かる人にしかできない作業であるため、アルバイトは依頼できない。

今後の研究の推進方策

動作主標示を用いて韓国語の漢語動詞の受身構文のプロトタイプを策定し、これを参考にしながら23種類の活用形で「VN-doida」の語彙調査を続ける。「VN-doida」「VN-badda」「VN-danghada」のいずれの用法が見られた「支配」「制限」「選択」の構文上の特徴も明らかにしたい。
昨年度調べ上げた『李箱文学賞作品集1986-2015』における動作主標示の調査結果に基づき、延べ語数234語、異なり語数166語の用法の特徴を論文としてまとめる予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの感染状況が続いていたため、韓国への出張が1回しか叶わなかった。そのため、最新の論文に関する情報収集や他の研究者との意見交換もできなかった。
次年度は当該年度より状況が改善されそうなので、出張を含め学会発表を準備をしており、未使用額を充てる計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 韓国語の「漢語VN-sikida」の用法と派生上の特徴--2つの語彙調査の結果を中心に--2023

    • 著者名/発表者名
      尹亭仁
    • 雑誌名

      神奈川大学言語研究

      巻: 45 ページ: 1-23

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 日韓両言語における2字漢語動詞の対応--1290語の分析と「基本漢語動詞」の策定--2023

    • 著者名/発表者名
      尹亭仁
    • 雑誌名

      神奈川大学人文研究

      巻: 208 ページ: 113-145

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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