研究課題/領域番号 |
19K00780
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
米崎 里 甲南女子大学, 国際学部, 准教授 (60737352)
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研究分担者 |
多良 静也 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (00294819)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フィンランド小学校教科書分析 / 言語活動 / 語彙・文法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、2020年度より日本の小学校英語が高学年において教科化されるなかで、外国語教育が学校教育において多大な成果をあげていると言われているフィンランドに着目し、その成功要因の一つとされている教科書・ワークブックを分析することである。そして教科書・ワークブックでどのような語彙・文法に関する言語活動が、いつどれくらい提供されているのかを質的・量的に分析する。そして今後小学校でも文法が教えられると仮定し、フィンランド型の言語活動のモデルを提示し、体系的・螺旋的な言語活動の教材の開発を行うことである。 この目的を達成するために、3年間(2019年~2021年度)にわたる研究の初年度に当たる本年度(2019年)の研究においては、フィンランドの小学校教科書・ワークブックでは学習者のコミュニケーション能力の育成のためにどのような言語活動がどれほど使われているかを質的・量的に分析を行い、フィンランドの教科書・ワークブックの特徴を明確にした。またこれらの言語活動が実際教室ではどのように使われ授業が展開されているか、現地訪問・授業観察(Tampere University Teacher Training School, Kaukajarven School等)を行うことによりその知見を得ることができた。 教科書・ワークブック分析や現地調査で得られた情報をまとめて学会発表を行い、またそれを論文化し『中部地区英語教育学会紀要』への投稿を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究においては、語彙・文法の定着を図るために、フィンランドの小学校教科書・ワークブックでは、どのような仕組みで言語活動が展開されているか質的・量的に分析することができ、その特徴を明確にすることができた。また実際の授業ではどのような言語活動が用いられ、授業が展開されているか現地訪問・授業観察を行い知見を得ることができ、おおむね当初の予定通りに順調に遂行できているため「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
研究の2年目の2020年度においては、初年度に行った教科書・ワークブック分析に基づき、フィンランド型の言語活動の特徴を活かした新たな文法・語彙に関する言語活動の教材の開発に着手する。フィンランド型の言語活動の特徴として、 1. ドリル的な活動から学習者の興味関心を引く活動まで多種多様な言語活動の提供、2. 組織的、螺旋的に学習項目が学習できる仕組み、3. 多くの語彙を提供し、かつ豊富な語彙活動の提供、4. 多様な学習者に対応した言語活動の提供、5. 家庭学習を考慮し一人でできる活動の提供等があげられる。これらの特徴を活かし、日本の英語教育環境を考慮しかつ小学校英語教科書の学習内容・項目に応じたフィンランド型言語活動のモデル提示を行う予定である。 開発した教材の一部を研究代表者及び分担者が関わっている協力校にて、授業で試験的に導入してもらう予定である。英語指導者や児童の反応を見ながら教材の修正を行なっていく。同時にこれまでの成果を国内外の学会で発表し、複数の論文にまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
フィンランドの教科書の購入冊数を抑えることができたため、次年度使用額が生じた。この分は、来年度教材開発のための人件費(イラストなどの製作費)に使用する予定である。
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