本研究は、国内外のESL/EFLコースブックや指導教材から理解型のインプットタスクと発信型のアウトプットタスクを抽出し、タスクのタイプや特徴を調査することから始めた。これに基づいて、Willis and Willis (2007)の“Tasks based on spoken and written texts”の考え方を参考にし、高等学校の検定教科書のテキストを使って理解型のリーディングタスクを作成し、従来型リーディング活動と比較した。質問紙調査の回答から、理解型のリーディングタスクの方が学習者の動機づけが高く、理解しやすいと評価された。 開発した発信型のアウトプットタスクはインフォメーションギャップ、意思決定、問題解決を主とし、これらをフィリピン人の英語上級話者に遂行してもらい、音声を録音し文字起こしを行った。その文字起こしデータからミニコーパスを作成し、N-gram分析を行って使用頻度の高い定型表現を抽出した。また、Hobbs (2005)の視点から分析し、Openings、Opinion markers、Feedbackなどのフレーズが随所で使われていることを確認した。 更に、インフォメーションギャップ系でも流暢さを促進するとされるSpot-the-differenceタスクを作成し、ネイティブスピーカーによるタスク遂行データを収集して言語的特徴を分析した。N-gram分析を行い高頻度で使用されているフレーズを抽出することで、ポストタスクでの指導ポイントが見えてくることがわかった。また、遂行データから中学校や高等学校で扱われる言語形式が随所に使われていることも分かった。Spot-the-differenceタスクを言語活動として中高の指導現場に取り入れることで、学習者の流暢さの向上と言語形式の定着を期待できると考えられる。 以上、作成したタスクと作成方法、収集したデータと分析結果、そこから何が見えてきたかなどを学会や研究会等で公開し発表を行ってきた。今後も様々な形で公開してゆく。
|