研究課題/領域番号 |
19K00784
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
磐崎 弘貞 筑波大学, 人文社会系, 教授 (50232658)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 内容言語統合型学習 / CLIL / コロケーション / パラフレーズ |
研究実績の概要 |
2019年6月の日本CLIL学会東北支部大会において講演”Putting CLIL into Japan’s context: Customize, motivate and dramatize your class”を行い、日本のCLIL(内容言語統合型学習)教育では (a) 授業への興味と協働学習を促すために知識の活性化(知的関心を呼ぶ問いかけ)が必要であること、(b)語彙サポートとして、コロケーション(語と語の意味的つながり)、パラフレーズ(難解語の平易な表現への言い換え)、日本語専門用語の併用が必要であることを述べた。 7月の同学会全国大会において、”Use of ‘collocation-based’ glossaries for boosting CLIL skills among Japanese students”のタイトルで、日本人学習者へのコロケーションの重要性と利便性を主張した。具体例として「correlation 相関」のような語彙指導を避け、「have a high [moderate, low] correlation with A Aと高い[中程度の, 低い] 相関がある」のようなコロケーション指導が必要であると主張した。 9月には同学会のオランダ・ナイメヘンでの視察セミナーに参加し、小学校から大学に至る2言語教育/CLIL教育を参観し、参加者および現地の教員・研究者とCLIL教育について意見を交換した。この報告は、同セミナーのProceedingに掲載している。 2020年3月においては、こうした知見を伝達すべく、筑波大学において今後CLILを推進する教員に対して、英語で効果的に授業を行うための1日FD “Getting CLIL to work in Japan’s context”を開催し、講師を務めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一般言語クラスから専門クラスに至るまで、実際に担当する授業でのCLIL実践を基に、学会および例会で発表を行っている。そしてさらに、そうした発表でのフィードバックを基に、CLILに知見を授業に還元するサイクルができつつある。 また、海外の研究者およびCLIL実践教員との意見交換・授業視察を通して、海外での優れた手法と、逆に日本との違いを意識することができている。実際に、こうした知見を筑波大学でCLILを推進する立場にある教員にも伝達するため、実践的CLIL模擬授業を含む教員向け1日セミナーを実施し、CLIL実践に関する具体的方略を身に付けてもらうことができた。 こうした学術的・実践的な経験は、最終目的である日本人向けCLILマニュアル作成に向けて、確実に貢献できると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、日本CLIL学会を中心に、学会/研究会発表、CLILセミナー講師を継続して、マニュアル作りに役立てる予定である。授業においても、共通言語クラス、学士レベルの専門クラス、大学院レベルでの専門クラスにおいて、CLIL実践においてどのような配慮が必要であるかを調査予定である。また、可能な限り、海外での視察も継続し、単に欧米の手法を盛り込むのではなく、日本人学生との言語運用能力の違いを念頭に、日本人向けにローカライズしたCLIL手法を開発することを目的としている。 2020年度は、コロナ禍の影響で全ての授業がオンライン化されるため、これを機会と捉えて、オンライン授業でのデジタルツールを盛り込んだCLIL手法の研究も追加予定である。
|