最終年度はコロナ禍の状況が落ち着いたこともあり、研究協力者氏とバングラデシュの首都ダッカに約2週間滞在し、言語産出実験等の手法で調査を実施した。当初は日本語学習者のデータを収集、分析する予定だったが、これまで行ってきた研究と比較対照するにあたり、適当なレベルの学習者が、データ分析に足る数見込めなかったため、急遽、ベンガル語母語話者のデータのみを収集することとした。 すでに行った実験は、移動表現の概要を掴む目的のものであったが、追加のデータ収集に使用した実験はダイクシス表現に焦点を当てたものと、経路表現に焦点を当てたものである。いずれも本研究に先行するプロジェクトで作成された実験ツールをベンガル語に翻訳し、使用した。実験は、ダッカ大学現代言語研究所の日本言語・文化学科に協力いただき、大学構内で実施した。この他、すでに行った実験のデータに関する不明な点などを、現地のインフォーマントに確認する作業も行った。 ただ、日本国内では、インフォーマントが確保できず、収集したデータの書き起こし作業が難航し、分析するに至っていないものが残っている。非常に貴重なデータであるため、期間を過ぎてからも、なんとか分析を終了させ、結果を成果として発表したい。 また、当初目標としていた学習者のデータの収集、分析には至らなかったものの、本研究で収集した母語話者のベンガル語表現の特徴をまとめることで、外国語学習(特に日本語学習)の一助としたい。
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