研究課題/領域番号 |
19K00800
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
池田 真 上智大学, 文学部, 教授 (10317498)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | CLIL / 明示的言語指導 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、CLIL(内容言語統合型学習)における「見える言語指導」の理論を構築し、「内容(理科や社会などの一般教科の知識・技能)と言語(英語の知識・技能)」を統合する指導技法を体系化した上で、その学習過程と結果を検証し、可視化することにある。その取り組みは、(1)「見える言語指導」の技法を、文献研究や教室でのフィールドワークにより収集して体系化し(指導法開発)、(2) その習得を目的とした教員研修を行って通年にわたる授業実践を行い(指導法実践)、(3) その指導による学習の過程と結果を、生徒が産出した話し言葉や書き言葉の談話分析により明らかにしてモデル化する(指導法検証)、の3段階に分けて行い、データの収集と分析をほぼ終えている。その一方で、教室での授業観察や授業録画の分析を進めていくうちに、英語での内容学習を進める際の暗示的言語習得の役割を再認識することとなった。すなわち、明示的に言語的なポイントを取り上げて教える「見える言語指導」と、教師の発話、授業内の教材、生徒の言語活動に「学習の言語」(特定の単元内容を学ぶ上で必須の語彙や文法)や「学習のための言語」(英語で科目を学ぶ際に必要な言語知識)を埋め込む「見えない言語指導」との共存である。そこで本年度は、前者の実践と研究が盛んな香港と、後者を主な指導原理としているフィンランドで授業観察を行い、両者の重要性や棲み分けを確認した。実績としては、以上の知見を取り込んだ教員研修を10回(対面8回、オンライン2回)行い(延べ約500名が参加)、これまでの研究で得られた成果を国内外の学会で5回発表した(うち1回は招待講演)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間を一年間延長することで、今年度に予定していた研究活動はほぼ行うことができた。また、上記記載のとおり、発展的に当初の研究計画を追加修正したが、研究全体の取りまとめに影響はない。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である次年度は、研究全体を取りまとめ、論文ないし報告書を作成する。その成果は、国内外の学会や国際研究集会でも発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度と2021年度のコロナ禍において、対面での国内外の学校での授業観察、国際学会への参加、国際研究集会の開催を行うことができず、研究計画全体が一年間後ろ倒しとなっている(期間延長を申請・承認済)。未使用額はそのために生じたものであるが、最終年度である次年度に海外での研究成果の発表や国際研究集会の開催に使用する。なお、今年度については海外への移動が可能になったため、フィンランドでの授業観察を含め、ほぼ計画通りに予算を執行した。
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