研究課題/領域番号 |
19K00801
|
研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
窪田 三喜夫 成城大学, 文芸学部, 教授 (60259182)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 瞳孔径拡張 / 脳内音声処理 / 子音分別能力 / ミスマッチ成分 |
研究実績の概要 |
瞳孔径拡張によって、さまざまな英語子音ペアーの識別が半無意識的に向上するのかを調査した。ミスマッチ成分検出用の実験パラダイムを利用した。瞳孔径拡張は、超小型円から超大型円を見ることにより誘発した。瞳孔径拡張の平均値は、standard刺激では1452 dots に対し、deviant刺激では1899 dotsであり、standardからdeviantの変化により瞳孔径が拡張されていることを確認した。 (1)英語子音ペアーの[r] と [l]に関して、瞳孔径拡張実験を行った。pre-testと比べて、英語子音識別テストでは、25.3%の成績の上昇につながった。 (2) 英語子音ペアーの[dz] と [d]に関して、瞳孔径拡張実験を行った。pre-testと比べて、英語子音識別テストでは、23.7%の成績の上昇につながった。 (3) 英語子音ペアーの[th] と [s]に関して、瞳孔径拡張実験を行った。pre-testと比べて、英語子音識別テストでは、26.1%の成績の上昇につながった。 以上のように、瞳孔径拡張をさせることにより、自然に日本人英語学習者が苦手とする子音の識別能力が推進されることを明らかにした。瞳孔径拡張は認知的再構築を誘発させるため、瞳孔径拡張トレーニングが半無意識的な英語識別能力を向上させることを発見した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の第3年度として計画を立てた内容を順調にこなした。瞳孔径の拡張実験を行い、瞳孔径の拡張の詳細なデータ収集を行うことができた。特に3種類の異なる英語子音ペアーの瞳孔径拡張実験において、瞳孔径の拡張が英語能力向上に有効であるのかを実証した。これら3種類の実験結果に基づいて、文法に焦点を当てる研究第4年目の実験内容を構築していく。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、文法と語彙に焦点をあてる瞳孔径実験を実施していく計画である。さらに、英語学習者と日本語学習者の比較という第一言語話者との違いに注目したデータ収集も行っていく。学習過程に焦点を当てるため、「過剰学習」と「間隔反復」を組み合わせた瞳孔径実験と行動実験を構築し、長期的な言語記憶の維持に関する言語習得過程を探求する複合的な研究計画を推進していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、予定していたアメリカでのデータ収集と分析方法に関する研修がコロナパンデミックの影響により、実施できなくなった。これらの予算は文法に焦点をあてる研究実験を実施する次年度に使用する計画である。
|