研究課題/領域番号 |
19K00802
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
土方 裕子 筑波大学, 人文社会系, 助教 (10548390)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リーディング / 意味的逸脱 / 処理時間測定 / イディオム |
研究実績の概要 |
2020年度は日本人大学生英語学習者を対象に,読解時間を測定する調査を2つ実施した。一つ目の調査は,日本語および英語での実験文を用いて,その文章が意味的に適切か否かを判定するものであった。その際,ソフト SuperLab を用いて処理時間を測定した。この調査において協力者は,自分のペースで文章を読み,何か意味的に「おかしい」箇所があるか否かを判定し,おかしい場合は何がおかしいかを口頭で説明した。この調査では4つの条件群に受験者を分け,1人の読み手は1つの実験項目(実験用文章)を4条件のうちいずれかで読んだ。 二つ目の調査は,ある慣用句を基盤として3つの類似したバージョンが用意された英語の文章を読む課題である。イディオムとしての意味を成すもの,慣用的にではなく文字通りに解釈して読むべきもの,そしてイディオムから一語だけ変えた「フィラー」を含むマテリアルを用いた。このテストを受験する前には,イディオム学習リストを提示し,そちらで一定時間の学習をしてもらった後で,パソコンを使って英文を読んでもらった。また学習リストに出てきたイディオムの慣用的な意味だけではなく,文字通りの意味で使われる項目があることも事前に通知した。その上で調査1と同様に,読んだ文章が意味的におかしいか否かを判断してもらった。 どちらの調査においても,受験者の英語熟達度を測定する Nelson-Denny Reading Test,読んだ文章に関する背景知識を測定する多肢選択式テスト,事前学習用の語彙リスト,そして学習者の英語学習経験を尋ねるアンケートを実施した。 取得したデータは,協力者ごとに整理し,意味的逸脱の判定の適切さ,および読解時間との関係を統計分析にかけた。 一連の調査は筑波大学人文社会系の研究倫理委員会で承認されており,調査開始前に協力者から同意書を取った上で行われたものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の拡大により,緊急事態宣言が出される期間もあり,対面調査の人数が目標人数に達しなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように新型コロナウィルス感染症の拡大の影響で,対面調査から得られるデータが足りないため,2021年度は対面調査の協力者を増やすことから始める。その上で統計処理を行い,成果を学会で発表し,学術論文に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症拡大のため,学会発表の旅費を使うことがなかったため。2021年度も学会出張がない場合は,新たにホームページを開設するなどして,結果の公表のための費用に充てる予定である。
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