研究課題/領域番号 |
19K00819
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
毛利 雅子 豊橋技術科学大学, 総合教育院, 准教授 (20636948)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 司法通訳人 / 通訳人認証制度 / 通訳人訓練制度 / 通訳人と倫理制度 |
研究実績の概要 |
当初の計画通り、通訳研究先進国における通訳制度の調査を実施した。具体的には、9月アメリカ(ニューヨーク州)での実態調査を行った。ここでは司法関係者へのインタビュー、刑事、民事、家事など多岐にわたる法廷見学、通訳人へのインタビュー、地域や経済格差による相談内容のバリエーションと対応方法など、非常に幅広い知見を得ることが出来た。 また、それに先立ち5月にはNAJIT (National Association of Judiciary Interpreters and Translators)の学会に参加して、実際に司法通訳人に行われているトレーニングや認証制度の現状を検分、担当者にインタビューを実施した。加えて、現地の裁判所(手年始―州ナッシュビル)も見学、検事にお話を伺うこともできた。 さらに10月には、ATA (American Translators Associaton)にも参加して、実際に活動する通訳者・翻訳者の意見を聴取、またここでもNAJIT同様、どのようなトレーニングや認証制度が為されているのかを調査してきた。 加えて、現地で資料収集や文献収集を行い、現地の状況を物語る資料や内部情報を収集してきた。これらは日本では入手不可であり、またインターネット非公開のもので現地で入手することで、今後の分析に大きな貢献となるものを得ることが出来た。 さらには、日本国内でのトレーニング状況を調査、現在稼働している司法通訳人にインタビューをしてきた。加えて、自らが参加することにより、日本の司法制度における通訳人トレーニング資料や状況を確認することとなった。 これらをもとに、2回の学会発表(国内1回、海外1回)を実施した。また現在、論文投稿中で回答待ち、および新しい論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アメリカ・ニューヨーク州における幅広い司法制度を検分する機会に恵まれたことが大きな要因である。司法と言っても刑事事件だけではなく、民事・家事などもあるが、ニューヨーク州ではこれら全ての範疇に対し、また広い州内での各種使用言語に対するさまざまな要因を含む状況を実際に見て、インタビューを取れたのが大きい。加えて、NAJITやATAといった公的団体における状況を体験し、実際の話を聞くことが出来たのは非常に貴重だった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度も継続的に現地調査、文献研究を行う予定であったが、新型コロナ肺炎の影響で、国内・海外とも出張はほぼ不可能と考えられる。従って、これまで収集した文献や資料の詳細な分析、および新たに文献を入手する方法を考えて、文献・資料研究とする予定である。 また、国内であれば地元および訪問可能な地域に限り、実態調査に赴くことも考えている。ただし、こちらも新型コロナ肺炎の関係で、軒並み公判が延期されていることから、どのくらい実態調査が出来るのかは、現状確定していないので、可能な限り実施することを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年1月までの海外出張費が必要だったことから、前倒しで請求を行った。その後も2-3月に海外調査に赴く予定だったが、新型コロナ肺炎の影響により、海外はもとより国内出張も全てキャンセルすることとなったため、予定と大幅な差異が出た。
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