研究最終年度にあたる今年度では,これまで実施してきた英語学習に対する動機づけを減退させる教師要因研究の知見を,大学での英語教員養成及び現職英語科教員研修にどのように活用できるのかについて研究を行った。 「英語教員養成課程におけるアクティブラーニング型オンライン授業の可能性-「動機減退を引き起こす教師要因」をテーマとして」と題する研究では,大学の英語教員養成課程に在籍している学生を対象に,これまでの調査で収集したアンケートの記述を配布し,ジグゾー法及びオンライン共同文書作成といったアクティブラーニングの手法を通してどのような教師要因が学習者の英語学習に対する動機づけを減退させるのかについてカテゴリー化をする授業を実践した。授業実践の結果,本テーマに対する学生の興味・関心を高めることができ,これからの英語教員養成課程における学修を進めるにあたって新たな知見を得ることができたとの回答が多く寄せられた。 「動機減退を引き起こす教師要因研究に基づいた授業評価シートの開発-英語教員養成及び現職英語教員研修における活用の可能性」と題する研究では,本テーマに関するこれまでの知見を総合し,「学習者の動機づけを減退させる潜在的な要因を排除するために教師として何ができるのか」という視点から指導改善に資するツールの提供を試みた。本評価シートは「授業構成」や「説明・解説」,「教師の発話」,「生徒との関わり合い」の4つのカテゴリーから成り,それぞれに対して下位項目(計36項目)が含まれている。回答者はそれぞれの項目の記述文に対して「1: まったく当てはまらない」から「5: 大いに当てはまる」の中から自身に最もよく当てはまるものを1つ選択する。本研究では評価シートの開発段階に留まったため,今後は実際の学生や現職英語教員への実施を通して内容の改善を図っていく必要がある。
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