研究課題
2019年度前半は、2018年度後期に実施した交流プロジェクトについて、特に日本人学習者に対するインパクトを中心に分析し、学会や論文で中間発表を行った(ケーススタディA)。本研究で提案するプロジェクト設計は、初中級学習者や外国語不安の高い日本人学習者の積極的な参加をサポートすると期待された5つの要素 (1. 動画の伝達力, 2. 非同期型コミュニケーション, 3. グループでの動画作成, 4. 二言語使 用, 5. 日米混合小人数グループ編成)を特徴とするが、それらはおおむね期待通りに機能したと言える。この形での交流活動に対する参加者の満足度は高く,多くの参加者が、それぞれのレベルで有意義かつ肯定的 な英語使用経験を積むことができた。しかし、この交流機会を最大限に活用できたとはいえず、実施上の課題も残った。2019年度の後半は、ケーススタディAからの知見と問題点、およびAとの実施状況の違いを踏まえて、活動設計に調整を加えて交流プロジェクトを実施した。修正点の一つはグループ動画の扱いである。「グループでの動画作成」は、最初は参加を促すのに役立つが、話している自分を撮影するのに慣れてくると、「手間がかかる」というマイナスの面が目立ってくる。このためグループ課題への取り組み方は各グループに任せることにした。このプロジェクトを対象とするケーススタディBを、現在進めているところである。また、音声処理の面が特に弱い日本人初中級者について、プロジェクトと同時に、セルフアクセス型のアプリや教材を使って、それぞれのレベルで基礎的な4技能トレーニングを進める形について、検討および教材開発を行っている。
3: やや遅れている
2019年度末に、国内学会(言語教育エキスポ2020)にて「動画ベースの言語文化交流(初中級学習者向けリスニング・スピーキング実践)」と題する報告を行う予定であったが、Covid-19の感染拡大のため当該学会の開催が中止となり、上記ケーススタディBの報告ができていない。
2020年度は、Covid-19感染拡大に伴う遠隔授業の対応(教員対応と学内調整)に相当の時間をとられ、研究時間を確保するのが極めて困難な状況が続いていたが、5月下旬以降は比較的落ち着いてはきている。2020年度も、後期に交流プロジェクトを実施する計画ではあるが、クラス内での学生同士の関係や学習環境を含めて例年とは事情が異なる面が大きい。本来の計画にあったわけではないが、従来のケースとの対照研究を行う方向で進めていこうと考えている。
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千葉商大紀要
巻: 57(3) ページ: 71, 94
巻: 57(2) ページ: 59, 84