研究課題/領域番号 |
19K00834
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
石井 康毅 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (70530103)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 英語前置詞 / ジェスチャー / 認知言語学 / 日本人英語学習者 / マルチモーダルコーパス |
研究実績の概要 |
プレゼンテーションの発話を書き起こしたテキストデータと発話の録画映像が時間で関連付けられ,言語表現で検索してジェスチャーを確認することが可能なTED Corpus Search Engineを利用して,3,000件の前置詞の使用例の確認を済ませた。 さらに,語義間の距離を見るためには多変量解析の手法が有効であるという想定で,これまでに得られた分析結果を利用して,実際に多変量解析の手法で語義間の関係性を明らかにする試みを行った。その結果,少なくとも今回分析対象としたデータでは,そもそもジェスチャーを伴う語義が限定されていて,語義とジェスチャーとが密接に結びついているものが多く,結果としてデータが疎になり,コレスポンデンス分析では期待した結果が得られなかった。クラスター分析では,データのバリエーション(粗頻度使用・低頻度データの削除・頻度の二値化など)や方法(距離計算とクラスター化の方法)を様々に組み合わせることで全く異なる結果が得られるため,探索的な分析が可能になり,前置詞の多義構造記述の際に参考として利用できる情報が得られる可能性を見出すことができた。総じて,現段階のデータサイズでは多変量解析の有効性は限定的にしか得られないということが分かったが,多変量解析の手法を探索的に利用することで,純粋な思索で得られるのとは大きく異なる着想を得られる可能性を明らかすることができた。また,多変量解析まで行わなくても,語義とジェスチャーの種類を分類記述して集計した結果を見るだけでも,前置詞の多義構造記述の際にひとつの根拠とすることができる情報を得られる可能性を見出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた前置詞のジェスチャー分析を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
データをさらに拡充し,前置詞の語義のたとえ一部であっても,その語義間の関係をより客観性を高めた形で推定し,前置詞の多義構造記述の妥当性を高めることを目指す。さらに,日本人英語学習者の前置詞の使用実態を踏まえて,前置詞の意味・用法を学習者により効果的に提示する方法を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は主にデータ分析に取り組んだため,コーパス・データ処理用コンピューターの購入を見送った。そのために残額が発生したが,2020年度は大規模コーパスの処理と統計データ解析のためにコンピューターを購入する予定である。
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