前置詞の多義構造をより客観的でデータに基づく方法で記述するための手法を提案することを目的として、前置詞に伴うジェスチャーに着目して語義別のジェスチャー使用状況を分析した。前置詞に伴うジェスチャーを観察することで、意識下にある前置詞の多義構造を明らかにできる可能性がある。TED Talksにおける前置詞約10,000例を対象として、各使用例の語義とジェスチャーの有無とタイプをデータ化し、多変量解析の手法を用いて語義間の距離を計算した。結果として得られたデータの中には直感と一致するものもあり、本研究の手法が、客観性を高めたより妥当性の高い前置詞の意味記述の基礎となるという可能性が示された。
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