研究課題/領域番号 |
19K00837
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
大須賀 直子 明治大学, 国際日本学部, 専任教授 (40514162)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | pragmatic routines / 気づき / 口頭談話完成タスク / 気づきの言語化 |
研究実績の概要 |
2020年度は新型コロナ感染拡大の影響で研究の進捗状況に遅れが生じてしまった。対面で新たなデータを収集することができなかったためである。そこで、2020年度は既に収集したパイロットスタディのデータを分析することに集中した。 12人の調査参加者には、16の場面(依頼、断り、感謝)において自分ならどう言うかを口頭で回答してもらい、その直後に自分の回答と英語母語話者の回答を比較して、気づいたことを自由に書いてもらった。更に1週間後と1か月後に再び同じタスクを行ってもらい、気づきを書いたことがどのようにpragmatic routines(PRs)の産出に影響するかを調べた。 参加者が書いた気づきの内容を精査すると、語彙に関する記述が一番多かった。また289の記述のうち93が対象となるPRsに直接言及していた。このうち39のケースで2回目または3回目に対象のPRsが産出された。しかし、これ以外にも31のケースで対象のPRs産出が見られ、直接言及したケースと、しなかったケースとの間に統計的な有意差はなかったので、直接的な言及はPRsの産出を決定づける要因ではないことがわかった。言い換えれば、学習者は気づきをすべて言語化しているわけではない、と言える。全体としてこのような気づきを言語化するタスクがRRsの産出にポジティブな効果をもたらすことは推察されたが、control groupに調査を行って確認する必要がある。 参加者に行ったインタビューなどから、学習者は初めて知ったPRsを試そうとする気持ちが強いこと、一方で、たとえ気づいても、既知のPRs使用に自信があるときは敢えて別の類似表現を使おうとはしないこと、文法的に複雑な(たとえば、複文、仮定法などを用いた)PRsを避ける傾向があること、などが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は本データを収集する予定であったが、新型コロナ感染拡大のため、対面によるデータ収集ができなかった。また、参加予定だった国際学会も中止や延期となり、発表の機会も失われた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は本データを収集したいと考えている。新型コロナ感染拡大が収まらないため、対面によるデータ収集が依然として難しいので、オンラインでデータを収集する方法に切り替える予定である。6月には国際学会があり、オンラインで発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大のため、予定していた対面によるデータ収集ができなかった。結果として、予定した調査参加者への謝礼金や、データ書き起こしにかかる費用の支払いがなかった。
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